脳梗塞
脳の血管が詰まると、具体的には急に手足が動かなくなってしまったり、感覚が麻痺したりします。また、言葉がうまく話せなくなったり、ひとの話が理解できないなどの症状もおこりえます。症状が進むと意識がなくなることもあります。脳梗塞は高齢の方に起こりやすく、その発症機序には2通りあります。一つはアテローム血栓性脳梗塞といいますが、高血圧や糖尿病、悪玉コレステロールや中性脂肪が高いなどといった脂質異常症がある方は、動脈硬化がすすみやすく、脳卒中を起こしやすいので注意が必要です。
一方、心房細動といって心臓が規則正しく脈を打てなくなると心臓の中で血液の塊ができやすくなり、はがれて飛んだ凝血塊が血管を詰めることがあります(心原性脳塞栓症と呼びます)。症状が出てから早い時期に、tPAという血栓を溶かす薬を注射したり、カテーテルという細い管を詰まった血管のなかに通して再開通させるといった治療(血栓回収療法)をすると後遺症が少なくてすみます。このような状態になった場合、直後であれば救急車を呼ぶことをおすすめします。tPA療法発症から4.5時間まで、血栓回収療法は数時間までが対象になります。そうでない場合でも、まず脳神経内科の受診をお勧めします。
脳出血
症状は脳梗塞に似ていますが、脳梗塞と違って脳出血では頭痛があることがほとんどです。手足のちからが入りにくくなったり、ろれつが回りにくい、顔がゆがむといった症状が急にでます。脳出血の原因は高血圧のことが多く、血圧の管理で発症を予防することができます。脳の比較的浅いところに出血した場合は、脳血管にアミロイドという異常なタンパク質が沈着している状態(脳アミロイド血管症)を疑います。不幸にして脳出血を発症してしまった場合は、救急車を呼んでください。
くも膜下出血
急にハンマーで殴られたような、激しい頭痛がおきます。出血量が多い場合は意識がなくなったり、手足の脱力が生じたりします。くも膜下出血の8割は血管のこぶ(動脈瘤)が原因のため、動脈瘤の再破裂や血管の異常収縮をおこして急激に症状が悪くなることを防ぐため、発症直後に頭の手術が行われます。