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代表理事からのご挨拶

日本神経学会代表理事就任のご挨拶

西山和利
日本神経学会 代表理事
北里大学医学部脳神経内科学 主任教授

 2022年5月より日本神経学会の第10代代表理事に就任いたしております北里大学脳神経内科学の西山和利です。このたび2024年5月の第65回日本神経学会学術大会から新しい理事の面々が選任され、私が代表理事として再任いただきました。新しい理事会の始動に臨み、2期目の代表理事を拝命いたしました者として、皆様にご挨拶申し上げる次第です。

 2年前の代表理事就任時のご挨拶にも記した内容の繰り返しになりますが、日本神経学会は1960年の第1回「日本臨床神経学会」総会開催をもって誕生し、その後1963年に現在の呼称である「日本神経学会」へ改称されました。しかし本邦における神経学の嚆矢は1902年創立の「日本神經學会」にまで遡るとも仄聞しておりまして、即ち本邦の神経学は120年を超える長い歴史を有しているわけです。この長い歴史において数多くの先人が弛まぬ努力をされてきたわけですが、明確に申し上げられますのは日本神経学会ならびにその会員は近代の神経学の目覚ましい発展に極めて大きな役割を果たしてきたという事実です。会員の皆様の不断の努力に裏打ちされた長い歴史と伝統のある学会を代表する立場を引き続き拝命することとなり、その重責に改めて身が引き締まる思いでございます。本邦における神経学の創生から現在に至るまでの錚々たる先輩諸先生方のお名前に恥じぬよう、引き続き日々精進して参る所存です。

 2022年より当学会の代表理事を拝命した私にとりましては、全国の脳神経内科医の先生方と交流させていただける機会が増えたことが最大の喜びでした。様々な専門性を活かして活躍されている脳神経内科医の姿を拝見することで、日本神経学会の進むべき道がみえてきましたし、また私自身の脳神経内科医としての考え方にも深みが増したように思います。そして代表理事として全国の医学生や研修医と対話する機会も格段に増えました。若者と接する時には、私が思い描く日本神経学会の未来、本邦の脳神経内科医の夢について熱くお話しするように心がけております。私と同様に全国の脳神経内科医が周囲の若人に対して脳神経内科の伝道師となってくださっていることでしょう。そして学会開設から64年、ついに2024年春に日本神経学会の会員数は10000名の大台に到達いたしました。この達成は慶賀すべきことです、が、それは通過点に過ぎません。私どもの分野への期待の大きさからは現状の倍近い数の脳神経内科医がこの国には必要だと信じております。この国に脳神経内科医を増やす努力を続けていくことが肝要です。

 私が日本神経学会の総務幹事として直接お仕えした歴代代表理事は水澤英洋先生(第7代)、髙橋良輔先生(第8代)、戸田達史先生(第9代)の3名の先生方ですが、この3名をはじめとする歴代の代表理事/理事長のご指導の下、日本神経学会は大いに発展し、また一般社団法人化した昨今の日本神経学会はその発展を加速させることに成功しています。しかしながら現在の日本神経学会がすべてにおいて順風満帆というわけではございません。私は代表理事に就任した当初、専門医制度を取り巻く激動の環境変化と日本神経学会への影響、専門医機構や基本領域学会との難しい折衝、神経関連の他学会との「ねじれ現象」、関連学会との対話や交流の不足、学会内での価値観の相違と会員間の分断の存在、本邦における脳神経内科の認知度の低さ、など学会が直面する様々な課題を指摘させていただきました。そして維新の英傑である坂本龍馬の「船中八策」に倣って、前理事会が取り組むべき主要な課題として次の8つの目標を提案いたしました:(1)学術面での更なる飛躍/神経疾患克服への研究支援、(2)日本神経学会の国際化の推進、(3)国民に広く認知される日本神経学会を目指した広報活動、(4)Common diseaseの分野でも活躍する日本神経学会、(5)国民の期待に応える学会運営、(6)「みんなの神経学会」/多様性を重んじる学会運営、(7)次世代を担う脳神経内科医の育成、(8)脳神経内科医の生活を守るための活動。前理事会は2022年から2024年の2年間で上記のマニフェストのすべてに着手し、様々な活動を展開いたしました。すべてをここに詳らかにすることは難しいのですが、代表的な活動成果をご紹介申し上げたいと思います。

  1. (A)専門医制度における学会のあり方に関する検討と関連団体との折衝。新しい専門医制度に対応した当学会の制度改変。
  2. (B)学会会員の研究支援ならびに留学支援制度の拡充。当学会の機関英文誌 Neurology and Clinical Neuroscienceがインパクトファクターを獲得。海外の様々な関連学会との積極的な交流。
  3. (C)国民目線での脳神経内科の広報活動。「All neurologist, be evangelists」プロジェクト。社会の中で認知される日本神経学会を目指しての活動。関連学会との積極的な交流。関連学会で活躍する脳神経内科医への積極的支援。
  4. (D)特別教育研修会の拡充。脳神経内科領域のcommon disease(脳卒中、認知症、頭痛、てんかん、等)における活動への支援。
  5. (E)セクションの拡大とその機能拡充。「みんなの神経学会」を達成するために学会会員が活躍する多様な分野を支援する仕組みの構築。
  6. (F)ダイバーシティに関する様々な施策。代議員選挙における女性枠新設を通じたジェンダーと地域偏在への対策。キャリア形成促進委員会からのウェブセミナー企画の拡充。開業している会員への顕彰制度の新設。
  7. (G)脳神経内科医を増やすための活動。若者向けの学会ホームページの開設。医学生/初期研修医向けのウェブセミナーの拡充。学会サマーキャンプの再開。卒前教育に関する調査の検討。脳神経内科医育成に貢献の大きな大学の表彰。学会会員数1万人に到達。
  8. (H)脳神経内科医の生活を守る施策。戦略本部の新設。診療向上委員会の活動の充実化。行政や政府への働きかけ。「日本脳神経内科臨床医会」設置に向けた取り組み。
  9. (I)学会の更なる民主化の推進。代表理事選考手続きの改革。ダイバーシティへ配慮した理事選挙制度の検討。
  10. (J)次世代の人材育成と若手会員の積極的登用。

 上記のような多くの足跡を残すことができましたのは、会員の皆様や関係者の皆様のご尽力ご支援の賜物です。ここに衷心より御礼を申し上げます。一方で目標達成が十分ではない課題もございます。多様性を尊重し全ての脳神経内科医が輝けるような世の中にするためには更なる改革や取り組みが必要です。脳神経内科医の歴史の変革は漸く端緒に就いたばかりなのです。数十年後の若者に安心して日本神経学会に入会していただき、躊躇せず脳神経内科医というキャリアパスを選択してもらえるような未来を切り開く必要があります。この国の国民から信頼され、そして社会からの期待に不足なく応えられる日本神経学会になるためには、数多くの課題を乗り越える必要があります。ここから2年の新たな任期を迎えるにあたり、私は現在進行形の改革を成し遂げるため身命を賭して精進して参ることをお約束申し上げます。引き続きのご指導をお願い申し上げまして、私からの挨拶を擱筆させていただきます。

以上

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