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神経内科の主な病気

ミオパチーの種類

 理論上、全ての筋疾患はミオパチーです。事実、フランスなどではそのような定義でミオパチーという言葉が使用されています。しかし日本を含む多くの国では、慣習的に筋ジストロフィー以外の筋疾患のことをミオパチーと呼んでいます。当然ですが、ミオパチーには様々な種類のものがあります。大きく分けると遺伝性のものと、後天性のものがあります。
 代表的な遺伝性ミオパチーには、先天性ミオパチー、代謝性ミオパチー、ミトコンドリアミオパチー、筋原線維性ミオパチーなどがあります。通常は体の中心に近い「近位筋」がやられやすく、しゃがみ立ちや階段の昇りが難しいといった症状で異常に気付くことがしばしばあります。
 これに対して、手足の先の方の筋肉である「遠位筋」が冒されやすい遠位型ミオパチーと呼ばれる筋疾患もあります。遠位型ミオパチーでは、ちょっとした段差でつまずきやすいという症状がよく認められます。
 遺伝性ミオパチーの多くはゆっくりと進行し、筋肉の痩せが徐々に目立っていきます。後天性ミオパチーには、炎症性ミオパチー、内分泌性ミオパチー、薬剤性ミオパチーなどがあります。特に炎症性ミオパチーは「筋炎」とも呼ばれます。やはり、近位筋が好んでおかされることが多く、立ち上がり動作など、近位筋を使う動作の異常を認めます。遺伝性ミオパチーと比較すると、経過が短いことが多いのが特徴です。代表的なミオパチーとその主症状を表1にまとめました。

表1.主なミオパチーとその主症状

疾患 主な症状
先天性ミオパチー 多くの場合、乳児期~小児期に発症する。顔面筋がやられることが多い。全身の筋肉が痩せており、筋力が弱い。筋病理所見によって、ネマリンミオパチー、中心核ミオパチー、セントラルコア病などに分類される。
代謝性ミオパチー 運動時や感冒などをきっかけとして、筋力低下や筋肉の痛み(筋痛)を来す疾患が多い。発作時に骨格筋が壊れてミオグロビンという物質が血中へと流れ出し、やがて尿中に出てきて、尿がコーラ色に変化することがある。
ミトコンドリアミオパチー まぶたが下がり、目が動きにくくなる慢性進行性外眼筋麻痺、脳卒中様の症状を伴うメラス(MELAS)、ミオクローヌスてんかんを伴うマーフ(MERRF)などの病型がある。しばしば糖尿病や難聴を合併する。
筋原線維性ミオパチー 成人期に発症する事が多い。徐々に手足の筋肉が弱くなり、筋萎縮が進む。一部の疾患では、呼吸筋が強く冒されて、筋力低下よりも呼吸不全が目立つことがある。
炎症性ミオパチー 筋肉に炎症を来す疾患であり、「筋炎」と呼ばれることもある。感染によるものもあるが、多くは自己免疫疾患の一部と考えられている。臨床症状および筋病理所見から、多発筋炎、皮膚筋炎、封入体筋炎に分類されてきたが、近年、関連する自己抗体の同定が進み、免疫介在性壊死性ミオパチーや抗合成酵素症候群などが新たに筋炎の一部として分類されるようになってきている。臨床的には、数週間から数ヶ月にわたり進行性に近位筋を中心とする筋力低下が進むことが多い。皮膚筋炎ではまぶたや手に特徴的な皮膚症状も合併する。封入体筋炎は高齢者に認められる疾患で、ゆっくり進行するため、発症後1年以上経過してから医療機関を受診することが多い。大腿前面の筋(大腿四頭筋)と手の指を曲げる筋が好んで冒され、椅子からの立ち上がりや階段の昇りが困難であったり、ペットボトルの蓋を開けにくいといった症状が見られる。
内分泌性ミオパチー 最も代表的なのは、甲状腺機能低下症に伴うものです。甲状腺機能低下症があると、近位筋を中心とする筋力低下に加えて、筋肉が疲れやすいといった症状が見られる。また、筋肉をたたいたときに局所的に筋肉が盛り上がる現象が見られる事がある。
薬剤性ミオパチー コレステロールを低下させるスタチン製剤は筋障害を来しやすい事が知られている代表的な薬剤である。しばしば軽度の筋痛や血中CK値の上昇を来す。一部の患者では、スタチン製剤が阻害しているヒドロキシメチルグルタリルCoAレダクターゼという酵素に対して抗体が産生され、筋線維が破壊される。このような例は、筋炎の一つである免疫介在性壊死性ミオパチーにも分類される(上記炎症性ミオパチーの項参照)。また副腎皮質ステロイド製剤では、筋線維の萎縮を来すことが知られており、ステロイドミオパチーとも呼ばれる。これらの症状が見られた場合には、薬剤の効果とリスクを十分に検討の上、慎重に継続するか中止するかの判断が求められる。

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診断

 ミオパチーの診断には、脳神経内科医による詳しい診察に加えて、血液中のクレアチンキナーゼ(CK)の上昇がないかを調べたり、筋肉の電気的な活動を調べる筋電図という検査を行ったりします。また筋疾患の診断には、しばしば筋生検という、筋肉の一部を外科的に採取する検査が必要になります。筋生検で採取された筋肉からは厚さ10µm程度の薄い切片が作製され、この切片に対して各種の染色を施した筋病理標本を顕微鏡で観察して「筋病理診断」を行うのです。これは、歴史的に多くの筋疾患が筋病理所見に基づいて分類されたり、定義づけられたりしているからです。例えば、先天性ミオパチーの一部であるセントラルコア病は筋病理学的に、筋線維の中心部にコアがあるように見えることからそのように名付けられており(図1)、この所見を確認しない限り、セントラルコア病と診断することは不可能です。同様にネマリンミオパチーはネマリン小体の存在が、中心核ミオパチーは筋線維の中心部に核が存在する事が、診断の決め手になります(図2, 3)。加えて、遺伝性ミオパチーの場合には、原因となっている遺伝子変異を調べる遺伝学的検査を行うことも必要になります。このような専門的な検査の施行やその結果の解釈には高度に専門的な知識と技術が必要ですが、こらは全て脳神経内科医の仕事の一部です。

図1.セントラルコア病。筋線維の中央部にコア様の構造が認められることからこのように名付けられた。NADH-TR染色

図1.セントラルコア病。筋線維の中央部にコア様の構造が認められることからこのように名付けられた。NADH-TR染色

図2.ネマリンミオパチー。筋線維内部にネマリン小体と呼ばれる糸くずのような構造を認める。ゴモリトリクローム変法

図2.ネマリンミオパチー。筋線維内部にネマリン小体と呼ばれる糸くずのような構造を認める。ゴモリトリクローム変法

図3.中心核ミオパチー。筋線維の核は正常では、筋線維の辺縁部に存在する。中心核ミオパチーでは、中心部に核が存在する筋線維が多く認められる。

図3.中心核ミオパチー。筋線維の核は正常では、筋線維の辺縁部に存在する。中心核ミオパチーでは、中心部に核が存在する筋線維が多く認められる。

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