臨床神経学

依頼総説

免疫介在性ニューロパチーの新規治療展望

桑原 基

近畿大学医学部脳神経内科

免疫介在性ニューロパチーでは副腎皮質ステロイド,血漿浄化療法,経静脈的免疫グロブリン療法が長らく治療の中心となっている.しかしながら,これらの治療においても治療抵抗例が一定数存在し,さらにmyelin associated glycoprotein(MAG)抗体関連ニューロパチーは未だ有効な治療が確立していない.近年,病態機序に直接関わる分子を標的とした新規治療の開発がすすんでいる.免疫性神経疾患において新規治療薬の臨床での使用が可能となりつつあり,免疫性介在性ニューロパチーでもこれらの分子標的薬を用いた複数の臨床試験が進行中である.本総説では,免疫介在性ニューロパチーにおける治療の現状と新規治療の今後の展望について概説する.
Full Text of this Article in Japanese PDF (592K)

(臨床神経, 64:1−7, 2024)
key words:新規治療,ギラン・バレー症候群,慢性炎症性脱髄性多発根ニューロパチー,多巣性運動ニューロパチー,MAG抗体関連ニューロパチー

(受付日:2023年5月12日)