臨床神経学

短報

皮質下出血を繰り返し,水痘・帯状疱疹ウイルス髄膜炎合併後に急速に悪化した症例:水痘・帯状疱疹ウイルス血管症の関与に関して

竹下 潤1), 野村 栄一1), 竹丸 誠1), 姫野 隆洋1), 下江 豊1), 栗山 勝1)*

Corresponding author: 脳神経センター大田記念病院脳神経内科〔〒720-0825 広島県福山市沖野上町三丁目6-28〕
1)脳神経センター大田記念病院脳神経内科

症例は75歳の男性である.認知症,生活習慣病で治療中であるが,左頭頂葉皮質下出血および左後頭葉の小梗塞を発症した.脳アミロイドアンギオパチー(CAA)と思われる皮質下の微小血腫と脳血管に多発性血管狭窄も認めた.入院6日目に臀部に帯状疱疹を発症し,脳脊髄液中水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)-DNAが陽性で,VZV髄膜炎を併発した.その後,左前頭葉および右頭頂葉の皮質下出血が短期間で多発し,入院18日目に死亡した.VZV髄膜炎後,急速に悪化した要因は,脳動脈硬化や皮質下の微小血種とVZV血管症が関与した可能性が推測された.VZV血管症とCAAとの関連は今後検討する必要がある.
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(臨床神経, 58:245−248, 2018)
key words:水痘・帯状疱疹ウイルス血管症,脳アミロイドアンギオパチー,皮質下出血,出血リスク,動脈硬化症

(受付日:2018年1月24日)