臨床神経学

短報

CTアンギオグラフィーによってvertebral artery stump syndromeを疑った1例

蜩c 美晴1)*,細井 泰志1),河野 達啓1),大竹 悠介1),平松 久弥2),伊藤 充子1)

1)浜松医療センター脳神経内科
2)浜松医療センター脳神経外科

症例は55歳男性.17か月前に両側小脳半球・両側後頭葉の脳梗塞の既往があった.某日めまいを発症し,後方循環の脳梗塞を認めた.MRAでは左椎骨動脈が描出されなかったが,連続3相撮影によるCTアンギオグラフィー(CT Angiography,以下CTAと略記)で頭蓋外左椎骨動脈が遅延して描出された.血管造影検査で左VA遠位端のto-and-froの血流パターンを確認し,vertebral artery stump syndrome(VASS)と診断した.本症例はCTAによってVASSの診断基準に含まれるVAの閉塞と遠位端の順行性血流成分の存在を疑ったことが,血管造影検査につながり,VASSの診断契機となった.
Full Text of this Article in Japanese PDF (1615K)

(臨床神経, 64:296−299, 2024)
key words:vertebral artery stump syndrome,椎骨動脈閉塞,脳塞栓症,CTアンギオグラフィー

(受付日:2023年8月16日)