臨床神経学

症例報告

123I-IMP-SPECT検査で前頭頭頂葉の血流低下を認め,広汎な高次脳機能障害を呈した古典型脳表ヘモジデリン沈着症の1例

藤井 裕樹1)* , 井料 崇文1), 峰 奈保子1), 松島 勇人1), 北村 健1)

Corresponding author: 独立行政法人労働者健康安全機構中国労災病院脳神経内科〔〒737-0193 広島県呉市広多賀谷1丁目5-1〕
1) 独立行政法人労働者健康安全機構中国労災病院脳神経内科

72歳男性.約10か月前から電子マネーカードのチャージや携帯電話の掛け方が分からないなどの症状が出現した.入院時には近時記憶障害,構成障害,失書,失計算など広汎な高次脳機能障害を認めた.頭部MRI T2強調画像で脳表面をびまん性に縁取る低信号を認め,古典型脳表ヘモジデリン沈着症(cortical superficial siderosis,以下cSSと略記)と診断したが,小脳や脳幹へのヘモジデリン沈着がめだたない点が特徴的であった.123I-IMP-SPECT検査で左優位に前頭頭頂葉の血流低下を認めた.脳表限局性微小出血や脳表へのヘモジデリン沈着を認め,probable CAA(cerebral amyloid angiopathy:脳アミロイドアンギオパチー)と診断,CAAに伴うcSSと考えた.
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(臨床神経, 63:505−512, 2023)
key words:脳表ヘモジデリン沈着症,脳アミロイドアンギオパチー,アルツハイマー病,APOE,皮質性くも膜下出血

(受付日:2022年12月15日)