症例報告
HIV感染症後に視神経脊髄炎関連疾患を発症し,Rituximabにて治療した1例
多田 康剛1)*, 彼谷 裕康2), 島 啓介1)
*Corresponding author: 富山県立中央病院脳神経内科〔〒930-8550 富山県富山市西長江2丁目2番78号〕
1) 富山県立中央病院脳神経内科
2) 富山県立中央病院感染症内科
HIV感染症でHighly Active Antiretroviral Therapy(HAART)を行っていた58歳男性.急性に左上肢,右下肢麻痺をきたした.MRIで頸髄に異常信号があり,血清抗アクアポリン4抗体陽性で,視神経脊髄炎関連疾患(neuromyelitis optica spectrum disorder,以下NMOSDと略記)と診断した.ステロイドパルス療法,単純血漿交換の効果は限定的でrituximab投与で四肢麻痺が改善した.本邦でHIV感染症後NMOSDにrituximabを投与した報告はない.HIV感染症後NMOSDの難治例にはrituximab投与を検討すべきである.
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(臨床神経, 63:748−753, 2023)
key words:HIV感染症,視神経脊髄炎関連疾患,抗AQP4抗体,脊髄炎,rituximab
(受付日:2023年5月24日)