臨床神経学

症例報告

複数の疾患特異的自己抗体を認め,横紋筋融解症を併発し,消化管穿孔により致死的な経過をとった結節性多発動脈炎の1剖検例

竹内 昌子1)2), 村上 丈伸1)2)*, 野口 直哉3), 田尻 佑喜1)2), 岸 真文1), 佐桑 真悠子2), 桑本 聡史4), 足立 正5), 花島 律子2)

Corresponding author: 鳥取大学医学部医学科脳神経医科学講座脳神経内科学分野〔〒683-8504 鳥取県米子市西町36-1〕
1) 鳥取県立厚生病院脳神経内科
2) 鳥取大学医学部医学科脳神経医科学講座脳神経内科学分野
3) 鳥取県立厚生病院消化器内科
4) 鳥取大学医学部病理学
5) 鳥取大学医学部神経病理学

72歳男性.1か月間続く発熱と筋力低下,しびれを主訴に受診した.下肢優位の四肢筋力低下,筋把握痛,下肢遠位触覚低下,深部腱反射低下を認めた.血液検査上,白血球増多と炎症反応高値,抗ds-DNA抗体,抗Scl70抗体が陽性だったが,ANCAは陰性だった.末梢神経伝導検査にて多発性単神経炎が示唆された.ステロイドパルス,血漿交換を行ったが,消化管壊死・穿孔により死亡した.病理解剖を行い,横紋筋融解症を併発した結節性多発動脈炎(polyarteritis nodosa,以下PANと略記)と診断した.本例は自己抗体を認め,横紋筋融解症を併発した点が非典型的だった.PANは急速に死に至る場合があるため,速やかに免疫治療を行うべきである.
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(臨床神経, 63:21−26, 2023)
key words:結節性多発動脈炎,横紋筋融解症,多発性単神経炎

(受付日:2022年6月9日)