臨床神経学

総説

神経内科領域におけるウイルス再活性化による神経障害

島田 知世1), 常深 泰司1)3)*, 飯村 康司2)3), 菅野 秀宣2)3), 服部 信孝1)

Corresponding author: 順天堂大学医学部附属順天堂医院脳神経内科〔〒113-8421 東京都文京区本郷2-1-1〕
1) 順天堂大学医学部附属順天堂医院脳神経内科
2) 順天堂大学医学部附属順天堂医院脳神経外科
3) 順天堂大学医学部附属順天堂医院てんかんセンター

長期間無症状のまま宿主細胞内にとどまるウイルスが,免疫状態の変化により再活性化することがある.活性化したウイルス自体の障害に加え,再活性化によって引き起こされる自己免疫的な炎症も細胞障害を生じる機序となる.なかでもヒトヘルペスウイルスは頭蓋内手術を契機として潜伏感染していたウイルスが再活性化し脳炎を発症することがある.てんかん外科の普及に伴い注目を集めている疾患概念であるが,欧米に比べ本邦での報告は極めてまれである.本総説では,神経領域で再活性化するウイルスについて概説し,術後の単純ヘルペスウイルス再活性化脳炎について詳細に考察する.
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(臨床神経, 62:697−706, 2022)
key words:潜伏感染,再活性化,単純ヘルペスウイルス,単純ヘルペス脳炎

(受付日:2021年12月23日)