臨床神経学

短報

脳血管造影3Dイメージのfusionにより造影剤を使用せずに頸動脈ステント留置術を行った1例

山田 美穂1), 津川 潤1)* , 新居 浩平2), 井上 律郎2), 坪井 義夫3), 東 登志夫1)2)

Corresponding author: 福岡大学筑紫病院脳神経内科・脳卒中センター〔〒818-0167 筑紫野市俗明院1-1-1〕
1) 福岡大学筑紫病院脳神経内科・脳卒中センター
2) 福岡大学筑紫病院脳神経外科
3) 福岡大学病院脳神経内科

症例は79歳男性.一過性の右片麻痺を繰り返すため当科に紹介入院した.神経学的に異常はなく,血液検査で腎機能障害を認めた.少量の造影剤で左内頸動脈撮影のみを行い,左内頸動脈分岐部にNASCET86%の狭窄を認めた.血管内治療を行う方針となったが,造影剤による腎機能悪化が危惧されたため,診断脳血管撮影時に取得した3Dイメージのfusion画像を使用し,B-modeエコーなどを併用しcarotid artery stenting(CAS)を行った.治療後は良好な拡張が得られ,神経症状の再発なく経過している.3Dイメージを用いることで造影剤を使用せず血管内治療を安全に行うことができた.
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(臨床神経, 62:801−804, 2022)
key words:頸動脈狭窄,頸動脈ステント留置術,慢性腎臓病,3D fusion イメージ

(受付日:2022年4月11日)