臨床神経学

短報

不完全型Brown-Séquard 症候群を呈した特発性脊髄ヘルニアの1例

友田 陽子1)2)* , 安藤 哲朗1), 橋本 亮3), 中村 聡3), 久保田 基夫3), 福武 敏夫1)

Corresponding author: 亀田総合病院脳神経内科〔〒296-8602 千葉県鴨川市東町929番地〕
1) 亀田総合病院脳神経内科
2) 現:京都大学大学院医学研究科臨床神経学
3) 亀田総合病院脊椎脊髄外科

50 歳男性.10カ月の経過で進行する左下肢の筋力低下を主訴に,脊髄炎を疑われ紹介された.左下肢のびまん性筋力低下,右下肢の触覚鈍麻,乳頭以下の右半身の温痛覚鈍麻,左の錐体路徴候および尿失禁を認めた.胸椎MRIとCT myelographyでTh4椎体高位で脊髄が腹側へ偏位し,背側のくも膜下腔の拡大を認めたため,不完全型Brown-Séquard症候群を呈する特発性脊髄ヘルニアと診断し,ヘルニア嵌頓解除術を施行した.術後,症状は改善し進行も停止した.緩徐進行性の胸髄症でBrown-Séquard症候群を認める場合,脊髄ヘルニアを鑑別する必要がある.
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(臨床神経, 62:797−800, 2022)
key words:Brown-Séquard 症候群,脊髄ヘルニア,duropathy,診断

(受付日:2022年3月24日)