臨床神経学

症例報告

抗横紋筋抗体陽性の重症筋無力症に合併したsporadic late-onset nemaline myopathyの1例

金谷 優広1), 足立 正1)*, 阪田 良一1), 渡辺 保裕1), 花島 律子1)

Corresponding author: 鳥取大学医学部脳神経医科学講座脳神経内科学分野〔〒683-8504 鳥取県米子市西町36-1〕
1) 鳥取大学医学部脳神経医科学講座脳神経内科学分野

症例は66歳女性.重症筋無力症(myasthenia gravis; MG)の既往があり,II型呼吸不全と右心不全が出現した.眼症状なく,球症状と顔面・四肢近位筋力軽度低下,肺活量低下を認めた.左上腕二頭筋生検にて,筋線維大小不同とネマリン小体を認め,筋周膜血管周囲に単核球浸潤と多数の筋線維にHLA-ABC発現がみられた.抗横紋筋抗体(抗titin 抗体,抗Kv1.4 抗体)が陽性であり,MGに合併した筋炎を背景としたsporadic late-onset nemaline myopathy(SLONM)と診断した.タクロリムスにて呼吸機能は改善し自宅退院した.非典型MGではSLONMの可能性も考慮して筋生検や抗横紋筋抗体測定を考慮すべきである.
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(臨床神経, 60:489−494, 2020)
key words:重症筋無力症,抗横紋筋抗体,sporadic late-onset nemaline myopathy,Good症候群

(受付日:2020年2月4日)