臨床神経学

症例報告

てんかん治療中に左大脳半球石灰化の出現から診断に至ったBorden type III硬膜動静脈瘻の1例

齋藤 和幸1)*, 日野 太郎2), 藤田 聡3), 林 盛人3), 久保寺 隆行1), 和田 義明1)2)

Corresponding author: 日産厚生会玉川病院脳神経内科〔〒158-0095 東京都世田谷区瀬田4-8-1〕
1)日産厚生会玉川病院脳神経内科
2)日産厚生会玉川病院リハビリテーション科
3)東邦大学医療センター大橋病院脳神経外科

症例は67歳女性.2008年にくも膜下出血に対するコイル塞栓術及びシャント術が行われた.2016年にてんかんと診断され,徐々に認知機能が低下した.2017年10月にてんかん発作の再発で入院した.入院時の頭部CTで左頭頂葉に石灰化が見られた.数日後の頭部CTでは石灰化周囲の脳溝が不鮮明となり,造影CTでは同部位に早期に皮質静脈が描出された.脳血管撮影にてBorden type IIIの硬膜動静脈瘻(dural arteriovenous fistula;DAVF)と診断され,血管内治療を施行した.脳内石灰化を伴うBorden type III DAVFにも関わらず緩徐に進行したと考えられた.
Full Text of this Article in Japanese PDF (997K)

(臨床神経, 59:93−97, 2019)
key words:脳内石灰化病変,硬膜動静脈瘻,Borden type III,てんかん

(受付日:2018年7月4日)