臨床神経学

短報

MRI拡散強調画像で広範な大脳皮質病変をみとめた急性高アンモニア血症性脳症の1例

徳元 一樹1)*, 菊川 高行1), 佐伯 雅史1), 西尾 元伸1), 西谷 信之1)

Corresponding author: 社会医療法人生長会ベルランド総合病院脳神経内科〔〒599-8247 大阪府堺市中区東山500-3〕
1)社会医療法人生長会ベルランド総合病院脳神経内科

症例は49歳の女性である.非代償性アルコール性肝硬変で顕著な腹水貯留のため度々腹水穿刺を受けていた.直近の退院から2日後に言動の異常が出現し救急外来を受診した.血液検査でNH3 142 μg/dlと高値で,肝性脳症が疑われ入院となり第8病日に深昏睡となった.同日の血液検査でNH3 436 μg/dl と著明な上昇を,またMRI拡散強調画像(diffusion weighted imaging; DWI)で左右対称性に前頭葉,頭頂葉,側頭葉,前部帯状回,島の各皮質に高信号をみとめた.急性高アンモニア血症性脳症ではMRI DWIで左右対称性の大脳皮質高信号所見をみとめることがあり文献的考察を加え報告する.
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(臨床神経, 59:659−661, 2019)
key words:高アンモニア血症性脳症,アルコール性肝硬変,MRI拡散強調画像,大脳皮質

(受付日:2019年4月4日)