臨床神経学

短報

高解像度MRIで原発性中枢神経系血管炎との鑑別が問題となった中枢神経原発悪性リンパ腫の1例

井上 裕康1)2)*, 櫻井 圭太3), 加納 裕也1), 山田 健太郎2), 湯浅 浩之1)

Corresponding author: 名古屋市立東部医療センター神経内科〔〒464-8547 名古屋市千種区若水一丁目2番23号〕
1)公立陶生病院神経内科
2)名古屋市立東部医療センター神経内科
3)東京都健康長寿医療センター放射線診断科

原発性中枢神経系血管炎(primary angiitis of the central nervous system; PACNS)の診断には脳生検または画像検査で血管炎の証明が必要とされるが,近年高解像度MRIにより血管壁の詳細な評価が可能となってきており,高解像度MRIの所見のみで診断されることがある.症例は77歳女性,ガドリニウム造影高解像度MRIで動脈壁と脳実質に線状の造影効果があり,PACNSも疑われたが,脳生検の結果,中枢神経系原発悪性リンパ腫(primary central nervous system lymphoma; PCNSL)であった症例である.本症例は多彩な所見を呈するPCNSLの画像診断の困難さと,生検による組織学的な評価の重要性を示した症例であった.
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(臨床神経, 58:456−459, 2018)
key words:中枢神経系原発悪性リンパ腫,原発性中枢神経系血管炎,高解像度MRI,動脈壁造影効果,脳生検

(受付日:2018年4月5日)