臨床神経学

症例報告

抗myelin oligodendrocyte glycoprotein(MOG),抗N-methyl-D-aspartate(NMDA)受容体抗体陽性の視神経炎を合併した脳炎の1例

永田 諭1), 西村 由宇慈1), 光尾 邦彦1)*

Corresponding author: 国立病院機構別府医療センター神経内科〔〒874-0011 大分県別府市大字内竈1473番地〕
1)国立病院機構別府医療センター神経内科

症例は20歳女性.感染症状の2週間後に全身痙攣が出現し,意識障害と項部硬直,両下肢脱力,髄液細胞増多を認めた.MRIでは両側帯状回と上前頭回内側部にFLAIR高信号を呈し,脳梁上縁部は線状に造影されていた.ステロイドパルス療法で症状は一部改善したが,左帯状回にリング状造影効果を伴う腫瘤状病変が出現した.入院4週間後に両側視神経炎と脳幹病変を認め,パルス療法と血漿浄化療法を追加し,視力障害はほぼ全快した.後日,抗myelin oligodendrocyte glycoprotein(MOG),抗N-methyl-D-aspartate(NMDA)受容体抗体陽性が判明した.両抗体陽性の視神経炎を合併した脳炎の報告は稀であり,抗MOG抗体関連疾患や抗NMDA受容体脳炎の臨床的多様性に関与している可能性も考えられた.
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(臨床神経, 58:636−641, 2018)
key words:抗MOG抗体,抗NMDA受容体抗体,視神経炎,脳炎

(受付日:2018年6月13日)