臨床神経学

症例報告

非痙攣性てんかん重積状態にたこつぼ型心筋症を合併した1例

植村 順一1)*, 和田 裕子1), 八木田 佳樹1)

Corresponding author: 川崎医科大学脳卒中医学教室〔〒701-0192 岡山県倉敷市松島577番地〕
1)川崎医科大学脳卒中医学教室

症例は61歳,女性.会話がかみ合わなくなり,家族とともに来院した.痙攣や意識消失はなかったが,脳波で左前頭側頭部に発作時てんかん波を,脳血流シンチグラフィーで左側頭葉の血流増加を認めた.以上より左中大脳動脈領域の陳旧性脳梗塞を焦点とした非痙攣性てんかん重積状態と診断した.入院時12誘導心電図では認めなかった陰性T波が第3病日に出現し,経胸壁心臓超音波では左室心尖部を中心に無収縮領域を認めた.冠動脈造影検査で冠動脈狭窄所見がなかったことより,たこつぼ型心筋症と診断した.非痙攣性てんかん重積状態にたこつぼ型心筋症を合併した報告はほとんどなく,貴重な症例と考えられたため報告する.
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(臨床神経, 56:852−856, 2016)
key words:非痙攣性てんかん重積状態,たこつぼ型心筋症,心電図変化

(受付日:2016年8月1日)