臨床神経学

短報

11年ぶりに再発した単純ヘルペスウイルス2型によるMollaret髄膜炎の1例

中村 善胤1)*, 中嶋 秀人1), 加納 陽祐1), 宇野田 喜一1), 石田 志門1), 木村 文治1)

Corresponding author: 大阪医科大学内科学I・神経内科〔〒569-8686 高槻市大学町2-7〕
1)大阪医科大学内科学I・神経内科

症例は55歳女性.43歳と44歳時に無菌性髄膜炎の既往がある.急な発熱と頭痛が出現し項部硬直を認めた.髄液検査で細胞数208/mm3(単核球99.5%),単純ヘルペスウイルス2型(herpes simplex virus type 2;HSV-2) DNA(PCR)が検出され,アシクロビル治療を開始し後遺症なく回復した.44歳時の無菌性髄膜炎の保存髄液検体からもHSV-2 DNAを認め,11年ぶりに再発したHSV-2によるMollaret髄膜炎と診断した.本例は43歳以降に性器ヘルペス再発を繰返し,その度にバラシクロビルを内服したが,今回の髄膜炎発症時には性器ヘルペスはなかった.再発性髄膜炎では抗ウイルス薬治療を念頭におきHSV-2を積極的に検索する必要がある.
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(臨床神経, 56:785−787, 2016)
key words:再発性髄膜炎,Mollaret髄膜炎,単純ヘルペスウイルス2型(herpes simplex virus type 2; HSV-2),性器ヘルペス,寛解期

(受付日:2016年8月28日)