臨床神経学

短報

歯ブラシによる口腔内鈍的外傷の2週間後に痙攣と片麻痺をきたした小児例

河野 龍平1), 大田 慎三2), 下江 豊1), 田中 朗雄3), 栗山 勝1)*

Corresponding author: 脳神経センター大田記念病院脳神経内科〔〒720-0825 広島県福山市沖野上町3-6-28〕
1)脳神経センター大田記念病院脳神経内科
2)脳神経センター大田記念病院脳神経外科
3)脳神経センター大田記念病院放射線科

症例は9歳男児.転倒し,歯ブラシで咽頭後壁を突いた.外傷は軽微だったが,1週後に一過性の軽度の頭痛,2週後に痙攣発作と左半身麻痺が出現した.右線条体梗塞と右外側頭頂葉梗塞,右内頸動脈閉塞,右中大脳動脈狭窄をみとめた.鈍的外傷で内頸動脈解離ないし内膜損傷をおこして内頸動脈が閉塞し,中大脳動脈への脳塞栓を生じたと推測した.小児の口内外傷は時間をおいて脳血管障害をきたす例があり,週の単位で経過観察が必要である.
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(臨床神経, 55:501−504, 2015)
key words:歯ブラシ,口腔内外傷,鈍的外傷,内頸動脈閉塞,脳梗塞

(受付日:2015年1月26日)