臨床神経学

短報

心房細動を有する市民の5年後の死亡率ならびに死亡原因についての検討

坂井 健一郎1)*, 木村 和美1), 井口 保之2), 吉岡 明彦3), 守安 文明4)

Corresponding author: 川崎医科大学脳卒中医学〔〒701-0192 岡山県倉敷市松島577〕
1)川崎医科大学脳卒中医学
2)東京慈恵会医科大学神経内科
3)倉敷市保健所
4)倉敷市連合医師会

われわれは過去に岡山県倉敷市で健康診断をおこなった市民を対象に心房細動有病率を調査し報告した.今回,当時心房細動を有していた市民の5年後の死亡率や死亡原因について調査した.調査可能であった心房細動を有する市民は1,164名であり,その内279名(24.0%)が5年後の調査で死亡していた.死亡原因は悪性腫瘍が24%,高血圧を除く心疾患が24%,虚血性脳血管障害が11%,出血性脳血管障害が6%,肺炎が13%,不慮の事故が3%,その他が19%であった.心房細動を有する市民の5年死亡率は高く,心房細動をみとめたばあいは,専門医による心臓の評価をおこなうこと,5年以内に致死的疾患に罹患する可能性があることを念頭においた上での十分なフォローアップが必要であると考えられた.
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(臨床神経, 55:178−181, 2015)
key words:脳卒中,心房細動,死亡率,死亡原因

(受付日:2014年5月15日)