臨床神経学

短報

トピラマートが奏効した頭部自律神経症状をともなう短時間持続性片側神経痛様頭痛発作の1例

伊藤 泰広1)*, 白水 重尚2), 小倉 礼1), 今井 和憲1), 西田 卓1), 安田 武司1)

Corresponding author: トヨタ記念病院神経内科〔〒471-8513 愛知県豊田市平和町1-1〕
1)トヨタ記念病院神経内科
2)白水クリニック

症例は34歳女性である.βサラセミアヘテロ型と網膜色素変性症を合併し,9歳頃から頭痛発作を有し,頻回に消炎鎮痛剤を使用していた.その経過中に左眼周囲の間欠的な頭痛が出現したため受診した.薬物乱用頭痛の加療の後,背景の頭痛は,前兆のない片頭痛および,頭部自律神経症状をともなう短時間持続性片側神経痛様頭痛発作(SUNA)と診断した.片頭痛にはトリプタン製剤が有効だったが,SUNAには無効で,トピラマートが奏功した.頭痛ダイアリーは記載方法を工夫する事で,2種の頭痛の経過と治療効果判定に有効だった.SUNAは片頭痛と薬物乱用頭痛が併存する可能性があり,診断・治療の上からも注意が必要である.
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(臨床神経, 53:728−731, 2013)
key words:頭部自律神経症状をともなう短時間持続性片側神経痛様頭痛発作,片頭痛,薬物乱用頭痛,トピラマート,頭痛ダイアリー

(受付日:2013年1月17日)