臨床神経学

症例報告

限局皮膚硬化型全身性強皮症とシェーグレン症候群にneuromyelitis optica spectrum disorderを合併した1例

岩永 育貴1), 林 信太郎1), 河村 信利1), 大八木 保政1), 吉良 潤一1)*

Corresponding author: 九州大学大学院医学研究院神経内科学〔〒812-8582 福岡県福岡市東区馬出3-1-1〕
1)九州大学大学院医学研究院神経内科学

症例は51歳女性である.脳幹脳炎で発症し,その後両下肢の軽度筋力低下と四肢遠位部の異常感覚が出現し,抗アクアポリン4抗体陽性が判明した.プレドニゾロン内服にて安定していたが,当地への移住を契機に当科に紹介された.顔面の毛細血管拡張と皮膚硬化をみとめたが,肺・腎に合併症はなく,限局皮膚硬化型全身性強皮症(lcSSc)とシェーグレン症候群による乾燥症状をみとめた.MRIでは胸髄に長大病変をみとめneuromyelitis optica spectrum disorder(NMOSD)と診断した.NMOSDにおいてlcSScの合併例はまれであり,今後両者の合併にも留意すべきである.
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(臨床神経, 53:695−700, 2013)
key words:neuromyelitis optica spectrum disorder,抗アクアポリン4抗体,限局皮膚硬化型全身性強皮症,シェーグレン症候群,舌萎縮

(受付日:2012年7月17日)