臨床神経学

症例報告

巨大内頸動脈瘤をともなう結節性多発動脈炎の1例

植村 順一1)*, 井上 剛1), 青木 淳哉1), 佐治 直樹1), 芝崎 謙作1), 木村 和美1)

Corresponding author: 川崎医科大学脳卒中医学教室〔〒701-0192 岡山県倉敷市松島577番地〕
1)川崎医科大学脳卒中医学教室

症例は46歳の男性である.右眼の視力低下で発症した.既往歴に左網膜中心動脈閉塞症,右中大脳動脈領域の脳梗塞,巨大右内頸動脈瘤,右椎骨動脈瘤があった.右眼底にさくらんぼ赤色班があり,右網膜中心動脈閉塞症と診断した.血沈の亢進をみとめるが,WBC上昇なく,CRP陰性,抗核抗体とANCAは陰性,脳脊髄液検査は正常だった.大動脈造影では,大血管に異常ないが内腸骨動脈,前腕動脈筋肉枝に数珠状変化があった.脳血管造影で両側浅側頭動脈に狭窄,数珠状変化があり,その部位の生検にて内膜にフィブリノイド壊死をともなう動脈炎をみとめ,結節性多発動脈炎と診断した.本例は結節性多発動脈炎に巨大内頸動脈瘤をみとめたまれな症例である.
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(臨床神経, 53:452−457, 2013)
key words:結節性多発動脈炎,巨大内頸動脈瘤,浅側頭動脈生検

(受付日:2012年10月23日)