臨床神経学

総説

ジストニア遺伝子とその機能解明

瓦井 俊孝1)*, 宮本 亮介1), 村上 永尚1), 宮崎 由道1), 小泉 英貴1), 佐光 亘1), 向井 洋平2), 佐藤 健太1), 松本 真一3), 坂本 崇2), 和泉 唯信1), 梶 龍兒1)

Corresponding author: 徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部感覚情報医学講座臨床神経科学分野〔〒770-0042 徳島市蔵本3丁目18番地の15〕
1)徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部感覚情報医学講座臨床神経科学分野
2)独立行政法人国立精神・神経医療研究センター病院神経内科
3)神鋼病院神経内科

遺伝性ジストニアの原因遺伝子の特定ならびに機能解明はジストニアの病態解明に重要である.他の遺伝性神経疾患でみられるように,同じ遺伝子変異を持っていても家系内・家系間で表現型の違いがみとめられることがある.遺伝性ジストニアにおいては,浸透率の変化の結果,無症候性キャリアもよくみられる.解明されたジストニア遺伝子の機能には,ドパミン代謝,転写因子,細胞骨格,ブドウ糖やナトリウム代謝に関係するものなどがある.最近,脳深部刺激療法(deep brain stimulation; DBS)の効果が遺伝子型によりことなることも報告されている.将来,遺伝子型に基づく治療法の選択がおこなわれるようになると思われる.
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(臨床神経, 53:419−429, 2013)
key words:ジストニア遺伝子,無症候性キャリア,浸透率の変化,DBSの効果

(受付日:2013年1月20日)