臨床神経学

総説

神経内科と膀胱
〜排尿の神経機序と排尿障害の見方・扱い方〜

榊原 隆次1)*, 岸 雅彦1), 露崎 洋平1), 舘野 冬樹1), 内山 智之2), 山本 達也3)

Corresponding author: 東邦大学医療センター佐倉病院内科学講座神経内科学〔〒285-8741 千葉県佐倉市下志津564-1〕
1)東邦大学医療センター佐倉病院内科学講座神経内科学
2)獨協医科大学排泄機能センター
3)千葉大学神経内科

排尿障害は,自律神経症候の中で非常に頻度が高いものである.このうち過活動膀胱(OAB)は生活の質を悪化させ,残尿・尿閉は尿路感染症,腎後性腎不全をきたし生命予後を悪化させる懸念もある.本稿では,排尿の神経機構とその見方について図をもちいながら述べた.次に,神経因性膀胱の病態と治療について,OABをきたす疾患として高齢者白質病変,残尿をきたす疾患として糖尿病を例示しながら述べた.治療については,OABに対して抗コリン薬,残尿・尿閉に対して清潔間欠導尿,α交感神経遮断薬,コリン作動薬を組み合わせながら投与することが勧められる.排尿障害の治療を積極的におこない,患者の生活の質を向上させることが望まれる.
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(臨床神経, 53:181−190, 2013)
key words:神経因性膀胱,過活動膀胱,残尿,自律神経障害

(受付日:2012年10月10日)