臨床神経学

症例報告

Conflict of intentionsを呈した白質ジストロフィーの1例

手塚 敏之1), 下畑 享良1)*, 石原 智彦1), 大槻 美佳2), 小田野 行男3), 西澤 正豊1)

Corresponding author: 新潟大学脳研究所神経内科学分野〔〒951-8585 新潟市中央区旭町通1番町757番地〕
1)新潟大学脳研究所神経内科学分野
2)北海道大学大学院保健科学研究院
3)新潟大学大学院医歯学総合研究科感覚統合医学講座・機能画像医学分野

症例は50歳女性である.47歳時より冷蔵庫を開けようとして閉めてしまったり,道路の交差点で意図した方向とは別の方向に向かってしまったり,頭で考えていることと違うことをおこなってしまうという症状が徐々にみられるようになった.これらの行為はconfl ict of intentions(COI)に相当するものと考えられた.頭部MRIでは脳梁のびまん性萎縮とT2強調画像における膝部から体部,膨大部を主体とする高信号病変をみとめた.原因疾患としては,緩徐進行性の経過とびまん性で均質な脳梁病変から,何らかの白質ジストロフィーが考えられた.COIの鑑別診断として白質ジストロフィーも検討すべきと考えられた.
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(臨床神経, 53:114−118, 2013)
key words:conflict of intentions,脳梁,MRI,白質ジストロフィー

(受付日:2012年2月9日)