臨床神経学

原著

Duchenne型筋ジストロフィー進行例では腎機能障害が多い

松村 剛, 齊藤 利雄, 藤村 晴俊, 佐古田 三郎

*Corresponding author: 独立行政法人国立病院機構刀根山病院神経内科〔〒560―8552 大阪府豊中市刀根山5―1―1〕
独立行政法人国立病院機構刀根山病院神経内科

呼吸管理や心筋保護治療により,Duchenne型筋ジストロフィーの生命予後はいちじるしく改善したが,心機能障害の遷延により循環動態の脆弱性が課題となる.われわれは,最近心機能指標が比較的保たれたまま腎不全で死亡した症例を6例経験し,本症における腎機能障害に関心を抱いた.筋萎縮症例ではcreatinineが低下するため,筋量に影響されないcystatin CをもちいてDMD103例を評価したところ,30歳以上の患者では3割以上が異常値を示し,貧血と腎機能障害の関連も示唆された.本症の医療管理では心腎貧血連関に留意すべきで,適切な水分バランスや貧血に対する積極的治療などが必要と思われる.
Full Text of this Article in Japanese PDF (361K)

(臨床神経, 52:211−217, 2012)
key words:Duchenne型筋ジストロフィー,心筋障害,腎機能障害,貧血,心腎貧血連関

(受付日:2011年8月16日)