臨床神経学

症例報告

後脊髄動脈症候群の2例

守谷 新, 門脇 傑, 菊地 サエ子, 榎本 雪, 望月 仁志, 宇川 義一

Corresponding author: 福島県立医科大学神経内科学講座〔〒960―1295 福島市光が丘1番地〕
福島県立医科大学神経内科学講座

突然疼痛をともない,両側体幹と下肢の深部感覚優位の感覚障害,錐体路障害と膀胱直腸障害で発症した後脊髄動脈症候群の2例を報告した.後脊髄動脈は左右1本ずつ存在するが後脊髄動脈症候群の症状は本症例のように両側性のばあいが多い.後脊髄動脈は吻合が多く,側副血行路が働き,1対の独立した血管支配ではなく1つの血管のネットワークで補われているのが原因と考えられる.本症例は2例とも高血圧,脂質異常症と虚血性心疾患の既往があり,高度な動脈硬化にともなうアテローム硬化性の機序により血管のネットワークが破綻したためと考えられた.
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(臨床神経, 51:699−702, 2011)
key words:後脊髄動脈症候群,両側性,アテローム硬化性

(受付日:2011年4月26日)