臨床神経学

症例報告

免疫療法が有効であった腫瘍非合併抗NMDA受容体脳炎の2例

北田 茉里1), 鈴木 秀和1)*, 市橋 珠里1), 三井 良之1), 田中 惠子2), 楠 進1)

Corresponding author: 近畿大学医学部神経内科〔〒589―8511 大阪府大阪狭山市大野東377―2〕
1)近畿大学医学部神経内科学
2)金沢医科大学脳脊髄神経治療学(神経内科学)

免疫療法が有効であった抗NMDA受容体脳炎の2例を報告する.症例1は38歳女性で,全般性強直間代発作にて入院後,高次脳機能障害が判明し脳炎と診断した.ステロイドパルス療法に抵抗性であったが,免疫グロブリン大量療法(IVIg)が奏功した.症例2は71歳男性で,季節性,新型インフルエンザワクチン接種後,痙攣発作,高次脳機能障害にて入院した.ステロイドパルス療法1クールにて奏効えられた.2症例とも腫瘍非合併で,免疫療法にすみやかな反応がえられたことは興味深く,抗NMDA受容体脳炎が従来報告されるより多様なスペクトラムをふくむ疾患であることが推測された.
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(臨床神経, 51:683−687, 2011)
key words:N-methyl-D-aspartic acid(NMDA)受容体脳炎,てんかん,高次脳機能,急性散在性脳脊髄炎

(受付日:2010年10月16日)