症例報告
転移性髄膜癌腫症との鑑別が困難であったprimary diffuse leptomeningeal gliomatosisの1例
中野 史人1）, 矢部 一郎1）＊, 秋本 幸子1）, 石津 明洋2）, 田中 伸哉3）, 笠原 正典4）, 佐々木 秀直1）
＊Corresponding author: 北海道大学大学院医学研究科神経内科〔〒060―8638 札幌市北区北15条西7丁目〕
1）北海道大学大学院医学研究科神経病態学講座神経内科学分野
2）同 保健科学研究院病態解析学分野
3）同 医学研究科病理学講座腫瘍病理学分野
4）同 医学研究科病理学講座分子病理学分野
症例は65歳女性である．進行する歩行障害のため当科受診．認知機能低下，左上肢と両下肢に深部覚障害，開脚不安定歩行をみとめ，MRIにて左中頭蓋窩に腫瘤性病変と脳幹表面の造影像，脊髄表面の造影像と腫瘤性病変をみとめたため転移性髄膜癌腫症がうたがわれた．髄液細胞診をふくめて全身検索をおこなったが，生前には確定診断にいたらず，剖検にてprimary diffuse leptomeningeal gliomatosis（PDLG）と病理診断された．PDLGはまれな疾患で生前診断は困難であるが，転移性髄膜癌腫症類似の画像所見を呈し，全身検査で原発巣をみとめない症例で，PDLGを鑑別するには髄膜生検も検討する必要がある．
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(臨床神経, 51：197−202, 2011)
key words：primary diffuse leptomeningeal gliomatosis，細胞診，転移性髄膜癌腫症
（受付日：2010年9月7日）
