臨床神経学

短報

孤発性片麻痺性片頭痛を呈した全身性エリテマトーデスの1例

土井 光, 立石 貴久, 磯部 紀子, 山崎 亮, 大八木 保政, 吉良 潤一

Corresponding author:九州大学大学院医学研究院神経内科学〔〒812-8582 福岡市東区馬出3-1-1〕九州大学大学院医学研究院神経内科学

症例は39歳の女性である.誘因なく左半身の異常感覚・不全片麻痺に続き視野欠損が出現し,3時間以内に消失する発作を反復性にみとめ,その発作の中で2回は嘔気をともなう左側頭部痛をともなった.頭部MR検査で明らかな異常所見なく,孤発性片麻痺性片頭痛(SHM)に合致した.また再発性の皮疹や関節痛も発作2年前よりみとめ,全身性エリテマトーデス(SLE)と診断した.くりかえす発作に対しアスピリンおよび塩酸ロメリジンの投与をおこない,その後発作はすみやかに消失した.SLEにSHMをともなうことはきわめてまれであるが,SHMの鑑別診断としてSLEも考慮する必要がある.
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(臨床神経, 50:332−334, 2010)
key words:孤発性片麻痺性片頭痛, 全身性エリテマトーデス, 抗血小板薬, カルシウム拮抗薬

(受付日:2009年10月19日)