短報
Malignant catatoniaに対しオランザピンが有効であった急性脳炎の1例
鈴木 勇人, 福島 隆男*, 牧野 邦比古, 桑原 武夫
*Corresponding author:新潟県立新発田病院神経内科〔〒957-8588 新潟県新発田市本町1丁目2番8号〕新潟県立新発田病院神経内科
症例は平易な漢字の想起困難,感情の不安定さで発症した29歳の男性である.頭部MRIで異常をみとめなかったが,髄液,脳波所見から急性脳炎と診断した.第4病日より無言・無動,catalepsyなどのcatatoniaが出現し,第9病日より高熱,筋固縮,自律神経症状,横紋筋融解症による高CK血症(最高3,038 IU/l)などのmalignant catatoniaを呈した.抗生物質,抗ウイルス剤,ステロイドパルス療法,ジアゼパム,ダントロレンナトリウムは無効だったが,オランザピンでmalignant catatoniaは改善した.
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(臨床神経, 50:329−331, 2010)
key words:悪性カタトニア, カタレプシー, オランザピン, 高CK血症, 急性脳炎
(受付日:2009年9月15日)