臨床神経学

原著

多系統萎縮症の栄養障害―早期の経管栄養導入と進行期のカロリー制限の必要性―

長岡 詩子1)*, 清水 俊夫1), 松倉 時子2), 武田 眞弓3)

Corresponding author:東京都立神経病院〔〒183-0042 東京都府中市武蔵台2-6-1〕
1)東京都立神経病院脳神経内科
2)同 栄養科
3)同 薬剤科

多系統萎縮症(MSA)患者28例において,栄養障害の状況を把握するために体格指数(BMI),上腕三頭筋周囲長(%AMC),上腕三頭筋皮脂厚(%TSF)を測定した.また10年以上の長期生存MSA患者13例の栄養状態の推移を後方視的に検討した.BMIと%AMCは経管栄養導入後の患者で有意に低下していたが,%TSFは逆に増加している症例がみとめられた.後方視的検討では,呼吸不全や嚥下障害出現時には栄養障害がいちじるしく,逆に気管切開・胃瘻造設後には低カロリー下でも皮下脂肪の蓄積傾向を示した.呼吸不全・嚥下障害出現前後ではより早期の経管栄養導入が望ましいが,進行期には体脂肪蓄積を回避する必要がある.
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(臨床神経, 50:141−146, 2010)
key words:多系統萎縮症, 栄養障害, 経管栄養, 胃瘻造設, 気管切開

(受付日:2009年9月8日)