臨床神経学

症例報告

病初期からSIADHをともなったGuillain-Barré症候群の1例

井上 学1)*, 小島 康祐1), 白樫 義知1), 神田 益太郎1), 柴崎 浩2)

Corresponding author: 医仁会武田総合病院神経内科〔〒601―1495 京都市伏見区石田森南町28―1〕
1)医仁会武田総合病院神経内科
2)同 顧問

症例は73歳男性である.上気道炎後に下痢と四肢筋力低下が出現した.神経学的には四肢近位筋優位の筋力低下と腱反射消失をみとめた.来院時血液検査で血清Na106mEq/lと著明な低Na血症を示し,その後の検査で抗利尿ホルモン分泌異常症候群(SIADH)と診断した.また,神経伝導検査で脱随異常がみとめられ,髄液で細胞数の軽度上昇をともなう蛋白上昇を示したため,Guillain-Barreé症候群とSIADHの合併と診断した.Guillain-Barré症候群の0.7〜26%にSIADHが合併するとの報告があり,多くは筋力低下のピークに一致してSIADHが現れるが,本例では病初期からSIADHを合併した点が特異であった.
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(臨床神経, 50:710−713, 2010)
key words:Guillain-Barré症候群,低Na血症,SIADH

(受付日:2010年6月21日)