臨床神経学

第49回日本神経学会総会

<教育講演6>
脳梗塞急性期の診断と治療

木村 和美

川崎医科大脳卒中医学〔〒701-0192 倉敷市松島577〕

脳梗塞治療の基本は,各々の患者の脳動脈の閉塞起序と病態を把握し,病態にあった治療をおこなうことである.患者の到着後直ちに現病歴を聴取しながら,バイタルサイン,一般身体所見と神経学的所見を取り,頭部CT・MRIおよび神経超音波検査をおこなう.脳血管病変の評価は必須であり,頭部MRA,経頭蓋ドプラ検査,CT angiographyもしくは脳血管造影検査などを施行する.塞栓源不明な脳梗塞のばあいは,塞栓源の検索のために経食道心エコー検査や経胸壁心エコー検査をおこなう.発症3時間以内であれば,t-PA静注療法をおこなうことを前提とした診療を始める.急性期から多職種によるチームが,脳卒中患者専用の病棟で組織的に計画性を持って治療をおこなうことにより,死亡率の減少,在院期間の短縮,自宅退院率の増加,長期的なADLとQOLの改善を図ることができる.このように脳卒中急性期診療は大きく変貌している.
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(臨床神経, 48:866−870, 2008)
key words:脳梗塞, 急性期, 診断, t-PA静注療法

(受付日:2008年5月16日)