第48回日本神経学会総会
<シンポジウム3-2>神経疾患と自己抗体
抗K+チャネル(VGKC)抗体に関連する神経疾患スペクトラム
有村 公良, 渡邊 修, 長堂 竜維
鹿児島大学大学院医歯学総合研究科神経内科・老年病学〔〒890-8520 鹿児島市桜ヶ丘8-35-1〕
抗VGKC抗体はこれまで末梢神経の過剰興奮を主徴とする神経疾患に関連するものとして注目されてきたが,最近非ヘルペス性辺縁系脳炎(non herpetic limbic encephalitis:NHLE)の中に,抗VGKC抗体陽性の症例が数多く発見され注目されている.臨床的には低ナトリウム血症が高頻度にみられる事が特徴で,ステロイドなどの免疫療法に反応し改善する.抗VGKC抗体陽性のNHLEの頻度は他の悪性腫瘍に合併するNHLEに比較して高頻度であり,かつ免疫療法により改善する点で重要である.さらに最近抗VGKC抗体陽性の難治性てんかん症例の存在も明らかになってきており,末梢ならびに中枢神経系の過剰興奮を特徴とする抗VGKC抗体症候群のスペクトラムは拡がりつつある.
(臨床神経, 47:845−847, 2007)
key words:辺縁系脳炎, 電位依存性Kチャネル, 抗体, 免疫療法
(受付日:2007年5月16日)