臨床神経学

短報

早期筋萎縮性側索硬化症における終夜睡眠ポリグラフィー検査の有用性

杉江 美穂1), 安東 範明1), 上野 聡2)

1)国立病院機構奈良医療センター神経内科〔〒630-8053 奈良県奈良市七条二丁目789〕
2)奈良県立医科大学神経内科〔〒634-0813 奈良県橿原市四条町840〕

症例は,頸部と四肢に中等度の筋力低下をみとめた早期ALSの49歳男性である.球麻痺や覚醒時の呼吸関連症状がなく,呼吸機能検査や血液ガス分析も正常であったが,終夜睡眠ポリグラフィー検査(PSG)で呼吸補助療法の適応となる睡眠呼吸障害をみとめた.睡眠時にBilevel PAPを導入したところ,睡眠呼吸障害が改善し,日中の活動性も向上した.早期ALSにおいて呼吸筋障害の早期発見にPSGが有用と考えられた.

(臨床神経, 46:297−300, 2006)
key words:筋萎縮性側索硬化症, 終夜睡眠ポリグラフィー検査, 呼吸不全, 睡眠呼吸障害

(受付日:2005年8月30日)