臨床神経学

短報

高齢で発症したhemiparkinsonism-hemiatrophy症候群の1例

深江 治郎1), 望月 秀樹1), 大橋 里奈1), 三谷 和子2), 川田 純也3), 水野 美邦1)

1)順天堂大学 脳神経内科〔〒113-8421 東京都文京区本郷2-1-1〕
2)東京都老人医療センター 神経内科
3)湘南鎌倉総合病院 神経内科

59歳で片側性のパーキンソニズムを発症した患者を報告した.顔面および上肢に左右差をみとめ,左側のhemiparkinsonism-hemiatrophy症候群(HPHA症候群)と診断した.高齢発症のHPHA症候群は報告例が少ないが,大脳皮質基底核変性症(CBD)と臨床症状が類似するため鑑別診断上重要である.PET所見では左右差のあるドパミン神経終末機能障害がみられた.一方,ドパミン受容体結合能は正常であった.この所見はHPHA症候群と矛盾しない所見であった.CBDをうたがう症例では,高齢発症のHPHA症候群も鑑別として考える必要があると思われる.

(臨床神経, 45:390−393, 2005)
key words:hemiparkinsonism-hemiatrophy症候群, 身体的左右差, 大脳皮質基底核変性症, 高齢発症, PET

(受付日:2004年8月31日)