臨床神経学

原著

Guillain-Barré症候群における副交感神経機能の検討

山元 敏正, 田村 直俊, 中里 良彦, 糸川 かおり, 前田 晃宏, 阿部 達哉, 島津 邦男

埼玉医科大学神経内科〔〒350-0495 埼玉県入間郡毛呂山町毛呂本郷38〕

Guillain-Barré症候群(GBS)の副交感神経機能を検討する目的で,GBS 6例に対して,アトロピン試験およびAschner眼球圧迫試験を施行し健常対照群と比較した.アトロピン試験ではアトロピン投与後の脈拍増加(絶対値)と増加比は,GBS群では対照群に比しともに有意に高値であった(p=0.027,p=0.026).Aschner眼球圧迫試験の反射性徐脈は,GBS群では健常群に比し有意に高反応を示した(p=0.039).交感神経機能の指標である寒冷昇圧試験の反射性血圧上昇は,GBS群では健常群に比し有意に高値であった(p=0.008).起立試験の収縮期,拡張期血圧下降は,GBS群では健常群に対し,ともに小なる傾向を示した(p=0.092,p=0.091).GBSの副交感神経機能は亢進しており,本症にともなう交感神経機能亢進は副交感神経機能低下による二次的な現象では説明できないと考えられる.

(臨床神経, 42:126−130, 2002)
key words:Guillain-Barré症候群, 副交感神経機能, 交感神経機能, アトロピン試験, Aschner眼球圧迫試験

(受付日:2002年2月7日)