学術大会概要

大会長・副大会長挨拶

大会長挨拶

戸田 達史

第65回日本神経学会学術大会
大会長 戸田 達史
東京大学大学院医学系研究科神経内科学 教授

第65回日本神経学会学術大会を、2024年5月29日(水)から6月1日(土)まで、東京国際フォーラムで開催させていただくことになりました。またこの大会は同時にアジア・オセアニア神経学会(AOCN2024)との合同開催でございます。2年ぶりに東京で皆様をお迎えすることができることを嬉しく思います。

今大会では第62回大会に続き副大会長を設け、東京医科歯科大学の横田隆徳教授にご就任いただきました。横田先生とご相談しながら、医師、研究者、メディカルスタッフ、学生、海外からの参加者、と、どのような立場の参加者にもご満足いただけるよう、国際的な広い視野で本大会を運営していきたいと思います。

今大会のテーマは「アジアのハブとなる神経学」としました。我々が、最新の知識を求めるために、アメリカ神経学会(AAN)やヨーロッパ神経学会(EAN)に出かけることはままあることだと思います。それでは日本神経学会(JSN)に外国人一般神経内科医は来られますでしょうか?もちろん言語の問題もありますが、アジアから最新の知識を求めてJSNにくるような大会を作っていきたいと思います。そういう意味も込めて、今回はAOCN2024との合同開催になりました。日本神経学会学術大会をアジア・オセアニア地域の脳神経内科医が集う国際的イベントにする流れを決定的なものにしていきたいと思います。

さて日本神経学会が診療科名を「脳神経内科」に変更する決定をしたのが2017年です。この40年あまりの間に脳神経内科は大きく発展しました。現在は脳卒中、認知症、てんかん、頭痛といったコモンディジーズを扱うメジャーな診療科に成長しました。それだけでなく、神経難病にも革新的治療薬や治療技術が次々と生まれ、かつてないエキサイティングな時代を迎えています。このような時とともに高まりゆく脳神経内科の使命のシンボルとして、大会ホームページおよびポスターには、東京フォーラムの近未来的なフォルムにアジアを中心とした地球をおき、日本がアジアのハブになりニューロンのネットワークで結ぶイメージをデザインしました。

COVID-19は現時点ではまだ油断はできない状況ですが、ワクチン接種も進み、開催日には随分と収まっていることを期待します。来年の本大会はできれば現地参加を考えておりますが、ライブ配信・オンデマンド配信も取り入れる予定です。新緑の東京の地で、本大会を最新の知見を発表し、学び、国内外からの参加者と熱く議論する場として楽しんでいただくとともに、脳神経内科の使命について改めて考えていただく機会にしていただければ望外の喜びです。多数の皆様のご参加をお待ちしております。

末筆ながら、皆様方の益々のご発展を心よりお祈り申し上げます。

戸田 達史

副大会長挨拶

横田 隆徳

第65回日本神経学会学術大会
副大会長 横田 隆徳
東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科脳神経病態学 教授

第65回日本神経学会学術大会の大会長の戸田達史教授のサポート役として副大会長の任命いただきました東京医科歯科大学脳神経病態学分野の横田隆徳です。大変な名誉であり最善を尽くしたいと存じます。本大会はアジア・オセアニア神経学(AOCN2024)との合同開催であり、コロナ感染が明けることを期待して千葉幕張メッセでの第64回に引き続いて、より本格的な国際学会として復活できることを目指したいと思います。

脳神経内科は頭痛・めまい・しびれ・ふらつき・物忘れなどの日常よくある症状の初期診療を行い、脳卒中(脳血管障害)、てんかんなどの高頻度の一般内科疾患やアルツハイマー病、パーキンソン症候群などのコモンな神経変性疾患に加えて、多発性硬化症などの神経免疫疾患、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、脊髄小脳変性症などの神経変性疾患を含む神経難病や筋ジストロフィー症などの筋疾患など多岐に渡る疾患を担当しています。神経疾患は一般内科のなかでも、在宅診療でも対象患者のなかで神経疾患の絶対的に患者数からその占める割合は大きく、高齢化の進む日本での一般内科の中でその重要性は間違えなく高くなっております。脳神経内科は専門性の高い診療科でありますが、医療面で一般内科の中での役割は大きく、本学会は学問的な進歩の紹介や議論といった本来の学会内容に加えて、一般内科専門医に対する教育のための学会としての特にこの10年間で大きく発展してきました。本学会でもその目的に答えられる教育セッションが充実されております。

脳神経内科はいままで「治療効果の少ない」内科として見られてきましたが、脳梗塞で近年血管内治療が確立し、神経免疫疾患では著効するモノクローナル抗体薬などのバイオ医薬が開発され、さらに最も難治であったアルツハイマー病でも抗体医薬であるレカネマブが、SOD1変異の筋萎縮性側索硬化症では核酸医薬であるトフェルセンが根本治療薬として米国FDAで認可されて、非常に大きな発展を達成してきています。まさに脳神経内科は時代の大きな転換期にあり、本学会の果たす役割は大きいと思います。この希望溢れる神経学を欧米やアジアの脳神経内科医、研究者と熱心に議論していければと期待しております。

是非、皆様と皇居、日比谷公園そばで大変便利で美しい東京国際フォーラムでお会いできて、交流できますことを大変楽しみにしております。

横田 隆徳