学術大会概要

大会長挨拶

西山 和利

第67回日本神経学会学術大会
大会長 西山 和利
北里大学医学部脳神経内科学 主任教授

第67回日本神経学会学術大会は2026年5月20日(水)~23日(土)の期間、パシフィコ横浜(神奈川県横浜市)で開催されることになりました。本学術大会の大会校を拝命しております北里大学脳神経内科学教室を代表してご挨拶申し上げます。

今回の大会のテーマは「みんなの神経学会 ~未来への戦略~(Japanese Society of Neurology for Everyone -Strategy for Future-)」です。以下にテーマ決定の経緯を説明させていただきます。大会長である西山は2022年5月より当学会の第10代代表理事を拝命しておりますが、ちょうど2026年の第67回学術大会をもって代表理事の任期2期4年を満了いたします。即ち第67回学術大会は2022年からの当学会理事会の活動の総纏めの意味合いも持ちます。ご存じの通り近年の脳神経内科学の分野は長足の進歩を遂げており、日本神経学会は診療や研究において大きな貢献をしてきました。会員数においても2024年には10000名の大台に到達いたしました。これらの達成は慶賀すべきことです、が、これらは通過点に過ぎません。脳神経内科学分野への期待の大きさからは日本神経学会がなすべき課題は山積しています。私は代表理事に就任した際に、専門医制度を取り巻く激動の環境変化、専門医機構や基本領域学会との折衝、神経関連の他学会との「ねじれ現象」への対応、関連学会との対話不足、学会内での価値観の相違と会員間の分断の存在、本邦における脳神経内科の認知度の低さや脳神経内科医の数的不足、など学会が直面する様々な課題を指摘いたしました。その際に維新の英傑である坂本龍馬の「船中八策」に倣って、学会理事会が取り組むべき主要な目標として次の8つを提案いたしました。(1)神経疾患克服へ向けての更なる研究支援、(2)日本神経学会の国際化の推進、(3)脳神経内科医の認知度の向上、(4)難病のみならずcommon diseaseの分野でも活躍する日本神経学会、(5)国民からの期待に応える学会運営、(6)多様性を重んじる学会運営、(7)次世代を担う脳神経内科医の育成、(8)脳神経内科医の生活を守るための活動。私は学会がこれらの課題を解決することで、未来の若者が安心して脳神経内科医というキャリアを選択できるような世の中になってもらいたいと願っています。この国の国民から信頼され、そして社会からの期待に応えられる日本神経学会になるためにも会員の皆様の力を結集することが大切です。そのような思いをこめて今回の大会のテーマを決定いたしました。

日本神経学会学術大会が神奈川県で開催されますのは、北里大学脳神経内科第3代教授でいらした坂井文彦先生が第49回大会を主催して以来のことであり、18年ぶりとなります。日本神経学会は脳神経内科医にとっての基盤学会ですので、その学術大会を主催できることは大変光栄なことであり、当科の教室員と同門会が一丸となって準備に取り組んでおります。医師、研究者、メディカルスタッフ、学生、など国内外からの多様な背景を持つ参加者の皆様にご満足いただけるよう幅広い視点で大会の運営に努めます。ご参加される多くの皆様が薫風緑樹の横浜の地で、日本神経学会の過去、現在についての知見を広めていただき、日本神経学会と脳神経内科医の未来についての熱い議論を楽しんでいただけますことを願っております。

西山 和利