プログラム

教育コース「ねらい」一覧

International Educational Session(英語セッション)

IE-01

テーマ:Multiple sclerosis
ねらい:The number of patients with MS has been rising. Invited experts will discuss epidemiology and therapies in their countries.

IE-02

テーマ:How to diagnose and treat MMN, an ALS mimic
ねらい:Multifocal motor neuropathy (MMN) is a distinct neuroimmunological disorder in the peripherla nervuos system, but its presentation sometimes mimics ALS. This may end up with incorrect therapy and prediction of prognostic. Here, experts in this condition will report up-to-date information of MMN and its potential therapies.

IE-03

テーマ:How to Manage Seizures
ねらい:The aim of this symposium is to discuss on recent update in pathogenesis, diagnostic tests and therapies in seizure disorders. In diagnosis, uncommon causes of epilepsy will be discussed.

IE-04

テーマ:Movement Disorders Video Session
ねらい:This session will cover the clinical and genetic aspects of a broad range of movement disorders with special emphasis on Parkinson's disease and dystonia. At the conclusion of this session, participants should be better able to: (1) identify procedures to effectively diagnose and manage Parkinson's disease; (2) understand the role of genetics in movement disorders; (3) recognize epidemiology of the various types of movement disorders; (4) describe how to characterize the dominating motor disturbance when diagnosing hyperkinetic movement disorders.

IE-05

テーマ:Spasticity: A Common But Under-Recognized Condition
ねらい:To discuss pathomechanisms and management of post-stroke spasticity. Update of botulinum toxin therapy and robot-assisted neurorehabilitation will be presented.

IE-06

テーマ:Emerging Therapies in ALS
ねらい:The following will be discussed on potentially efective therapies for ALS: (1) update of clinical trials and their strategies, (2) wobbler mouse as a model animal of ALS, (3) edarabone and ultrahigh-dose methylcobalamin therapies, and (4) a clinical trial using autologous bone-marrow-derived stromal cell.

教育コース

5月18日(水)午前

EC-01(生涯教育)

テーマ:視神経脊髄炎の診かた
ねらい:視神経脊髄炎(NMOSD)は、10年前までは視神経脊髄型多発性硬化症と呼ばれ、多発性硬化症(MS)の亜型と考えられてきたが、その臨床症状の特異性や、インターフェロンβが効かないなどの治療反応性の違いから病態が異なることが示唆され、2004年に発見された抗アクアポリン4(AQP4)抗体によってMSとは異なる疾患としての概念が確立した。2015年7月に新たな国際診断基準が提唱され、臨床現場での周知が望まれる。また、血清抗AQP4抗体測定は診断に欠かせない検査であるが、診断キットとして認可されているのは感度の低いELISA法によるものであり、偽陰性や偽陽性の結果を生じることがあるため注意が必要である。さらに、抗MOG抗体陽性のNMOSDが相次いで報告されており、抗AQP4抗体陽性のNMOSDとの病態の異同が注目されている。本コースではNMOSD診療の最新のノウハウを専門医に提供する。

EC-02(生涯教育)

テーマ:神経画像研究最前線
ねらい:近年の神経機能・構造画像の進歩は著しく、in vivoでの神経疾患における多くの知見をもたらしている。生体における種々の画像による所見は、病態生理を解明するのみならず、それに基づく診断方法の開発やサブグループ化の基準となりうる。例えば、神経細胞の活動性とリンクする脳機能MRI、構造的MRIを用いた脳形態解析、脳内物質の測定を可能とするMRS、アミロイドやタウなど異常蓄積物質に関するPETを含む核医学の発展は特筆すべきものがあり、今後実際の臨床に応用されていくことが期待される。神経画像によって明らかにされた機能的・構造的・病理学的な所見とそれらを臨床に還元していく戦略について議論したい。

EC-03(生涯教育)

テーマ:脳卒中の新たな危険因子-口腔内感染-
ねらい:脳卒中を含む各種神経疾患の病態に「慢性炎症」が関わるという議論がしばしば行われる.そこでは,あたかも炎症が病態の起点であるかのような議論が展開し,その起源について考察が加えられることは少ない.しかし,そもそも炎症のプロトタイプは感染であり,脳-腸連関(brain-gut axis)が注目される今,脳卒中における炎症の起源として感染症を考えたい.それを裏付けるデータとして,齲蝕原性細菌や歯周病原性細菌などの口腔内常在菌はアテローム硬化病変から高率に検出され,げっ歯類へのこれら細菌の直接投与は脳卒中を再現することが知られている.本教育コースでは,歯科専門医による齲蝕・歯周病に関する医科向けレクチャーを皮切りに,脳卒中と口腔内細菌との密接な関係を示す最新のデータを紹介し,脳卒中の病態機序を,「脳-口連関(brain-oral axis)」を基軸に据えて解き明かすことで,今後の新しい脳卒中予防法を全体討論する機会を提供する.

EC-04(生涯教育)

テーマ:めまいを治そう!(ハンズ・オン)
ねらい:めまいの医療現場は今なお混乱がみられる。第一に、診察手技ができていない。短時間で可能な正統な誘発法が行われることなく、Dix-Hallpike手技が一人歩きしている。第二に、診察上異常がない場合の原因推論ができていない。体平衡維持にかかわる末梢性入力(視覚、固有感覚、前庭)、中枢における統合、筋・骨格系への出力といった理解を背景に系統的に診察することでこの能力は向上する。最後に、めまいの治療ができていない。原因診断ができず対処療法(メイロン,メリスロンなど)を行うが、効果がなくEBMともかけ離れている。十分な説明を受けない患者は不安を抱えたまま生活する。本コース受講により、BPPVに対する浮遊耳石置換術を含めめまいの診察・治療手技を習得することを目指す。

EC-05(生涯教育)

テーマ:てんかん治療フロンティア
ねらい:21世紀に入り、はや15年が経過し、治る神経内科をめざして、てんかん治療は新時代に入りつつある。内科的には新規抗てんかん薬が単剤使用可能となった。神経救急の現場では、デジタル脳波技術の進歩で、非けいれん性てんかん重積の診断が迅速に可能となり、診断に基づいた的確な治療が可能となってきている。薬剤抵抗性てんかんにおいては、MRI陰性てんかんにおいて、的確な術前評価のもと外科治療が可能となり、焦点切除が困難な症例においてはニューロフィードバックや末梢神経刺激療法が開発、臨床応用されている。本邦でのてんかん治療の最前線を紹介する。

5月18日(水)午後

EC-06(生涯教育)

テーマ:眼球運動のみかたの基礎と臨床
ねらい:眼は、心の鏡といわれますが、ベッドサイドで瞳孔、眼瞼、眼球運動、眼振の評価をすることにより、その責任病巣を知ることができ、画像診断でその確認が可能です。これらの所見をどのようにとればよいのかを知っていただくことにより、所見をとることが楽しくなり病巣部位の推察ができるようになるか思います。今回は、眼球運動の神経機構のはなしとベッドサイドからの眼球運動異常のみかたについてわかりやすく話す予定です。

EC-07(生涯教育)

テーマ:症例を通じて勉強する神経筋電気診断(症例検討形式)
ねらい:筋電図・神経伝導検査では検査に習熟することが重要であるのは言うまでもないが、得られたデータを解釈し診断まで導くプロセスもそれに劣らず重要である。このコースでは、若手の電気診断医から実際の症例を通じ検査中に何を考え、どう診断したかのプロセスを発表してもらい、明日からの現場に役立ててもらう。講義は双方向性で参加者とのディスカッションを重視する。

EC-08(生涯教育)

テーマ:自律神経機能検査をやってみよう:この症候に出会ったらどうする?
ねらい:自律神経系は全身のホメオスターシスを制御しており、その障害は日常よく遭遇する様々な症候を呈する。眼の前の症候が自律神経障害に起因するらしいことはわかっても、どの検査を選択してどのように施行するか、得られた結果をどのように解釈するか、さらにはそれをどのように治療に結びつけるかなど、臨床の現場で難しいと感じておられる神経内科医も少なくないであろう。このコースでは、日常しばしば経験する4つのcommon symptomを題材に、具体的な事例も交えながら、多くの施設で実施可能な自律神経機能検査を中心として検査の実際を学ぶことを目的とする。これから自律神経機能検査を始めようとする若手医師だけでなく、これまでの知識や経験をブラッシュアップしたいと考えている熟練医師にとっても目から鱗の内容になる講演を目指している。

EC-09(生涯教育)

テーマ:やさしい小児神経疾患のみかた(ハンズ・オン)
ねらい:-

EC-10(生涯教育)

テーマ:わかるアルツハイマー病最前線
ねらい:アルツハイマー病の病態研究の最近のトピックスを取り上げ学習する。ノーベル化学賞受賞者田中耕一氏が率いる開発グループと、国立長寿医療研究センターの共同研究によって生み出された発症前にアルツハイマー病の兆候を少量の血液から見つける手法について学習する。アミロイドβおよびタウなど病因タンパク質は脳において凝集・集積し、それぞれ特異な病理像を形成するが、線維状凝集体自体よりもオリゴマーこそが毒性であると提唱されている。オリゴマーの実体・意義について学習する。実験モデル系において病因タンパク質が細胞間・個体間で伝搬する実験結果が提示されている。そこで最新のデータをもとに病気の進行との関係、伝搬のメカニズムについて学習する。患者iPS細胞を用いた疾患の病態解明、治療薬シーズの探索などが急速に発展している。アルツハイマー病におけるiPS細胞技術を用いた研究の展望について学習する。

5月19日(木)午前

EC-11(生涯教育)

テーマ:神経電気診断ハンズオン・アドバンスコース(ハンズ・オン)
ねらい:本学会学術集会において例年神経筋電気診断のハンズオンは開催されているが基本的事項に限定されている。しかしながら症例によっては応用的検査を行うことにより診断がつく事も多く、診断能力の向上のためアドバンスコースを設定する必要がある。生涯教育セミナーを過去に受講したものを対象として、より高度な検査につきハンズオンを行う(例としてsingle fiber EMG, uncommon nerve conduction study)

EC-12(専門医育成)

テーマ:脳アミロイドアンギオパチー診療の重要性ー脳卒中から認知症までー
ねらい:脳アミロイドアンギオパチーは,アルツハイマー病や脳皮質下出血の原因として近年注目されており,特にMRIによる脳葉性微小出血や脳表ヘモジデローシス,さらにはアミロイドPETによるAβ蓄積の検出により,早期診断が可能となってきた.臨床的にはtransient focal neurological episodesが診断の契機となることがあるが,一過性脳虚血発作との鑑別や抗血栓療法の適応判断が重要である.まれながら遺伝性アミロイドアンギオパチーも存在する.本疾患では早期診断と適切な対処が予後を大きく左右するため,脳血管障害診療と認知症診療という両者を扱う神経内科医の果たす役割は大きい.また一方で,いまだ病理学的機序が十分解明されておらず,治療法も確立していない.神経内科専門医が本疾患に関する正しい知識を有し,多くの知見を蓄積することが,今後の病態解明と治療法開発につながると考えられる.

EC-13(生涯教育)

テーマ:不随意運動のみかた -何を何時,選択するか?
ねらい:不随意運動の治療法には様々あるが,ジストニアや痙縮の治療には内服薬では十分な効果を得られないことが少なくない.本シンポジウムではボツリヌス注射療法,深部脳刺激療法,視床破壊術,集束超音波療法,バクロフェン髄注についてそれぞれの治療法の特徴,適応時期,最大効果が得られる時期,それぞれの治療効果が不十分であった場合の次の選択枝についても言及したい.

EC-14(生涯教育)

テーマ:メタ解析がわかる!
ねらい:種々の研究結果の統合を可能とするメタ解析は、現代医療の根幹をなすエビデンスベイスドメディシンにとって必須のものである。しかしながら、現在日本においてそれに対する体系的な教育が十分に行われているとはいい難い。バイオマーカー、遺伝子、治療と異なる分野におけるメタ解析の基本を各分野のエキスパートが説明し、かつ実際の研究への応用事例を通してメタ解析の意義を理解するとともに、その結果を正しく解釈できるようになることを目標とする。

EC-15(生涯教育)

テーマ:てんかんの社会的啓発をめざして
ねらい:本年WHOでてんかんの制圧に向けて決議が採択され、てんかんの社会的啓蒙の重要性がさらに増してきた。世界、そして本邦でのcommon diseaseであり、かつ未だstigmaが残るてんかんに関して、本邦および世界での社会的啓蒙活動、道路法改正および実地臨床における神経内科医の取り組みを、各領域の第一人者から包括的に討議し、現時点の問題点を明らかにして、本学会での今後の取り組みを考える機会としたい。

EC-16(生涯教育)

テーマ:希少疾病での患者登録と臨床研究ネットワークの果たす役割~筋ジストロフィーを中心に~
ねらい:希少疾病では、クリニカル・イノベーション・ネットワーク(疾患登録情報を活用した臨床研究ネットワーク)が疫学、治験・臨床研究の推進に重要な役割を果たす。神経筋疾患においては欧州を中心に国際協調的な患者登録システムが構築され、本邦でもジストロフィン異常症など複数の疾患で登録が稼働している。これらのシステムにより、治験だけでなく、自然歴や臨床評価指標などの研究も進められており、2014年には欧州でリードスルー治療薬であるTranslarna®が条件付承認を受けるなど効果を挙げている。また、難病法に伴う指定難病の拡大は患者情報の集積を促進し、研究の促進にも寄与すると期待される。本シンポジウムでは、筋ジストロフィーを中心に、学際的かつ多施設で患者登録・臨床研究ネットワークを形成し、そのネットワークで実施した研究の実例を提示し、稀少疾患全体への応用について考える機会としたい。

5月19日(木)午後

EC-17(生涯教育)

テーマ:役に立つ神経筋エコーハンズオン(ハンズ・オン)
ねらい:神経筋疾患に対して欧米では電気生理検査に加えて神経筋超音波検査を併用が推奨されているが、本邦ではまだ十分には普及していない。超音波検査は安価、低侵襲、利便性(ベッドサイドで実施可能)からもさらに普及し診断精度向上、治療効果の判定などに役立てるべきである。今回は末梢神経、筋に対する超音波ハンズオンを開催しその有用性を紹介したい。

EC-18(専門医育成)

テーマ:Bodyからみた臨床神経病理
ねらい:神経疾患において,神経病理学的理解は基本かつ重要であり,その重要性は増している.日常臨床において,背景にある神経病理を考え診療にあたることはきわめて有益である.ところが神経内科医が,神経病理を経験する機会は減少し,神経病理になじみの少ない医師も増加している.神経病理学の系統的コースは,短時間で多くの疾患が連続し,容易に理解することは難しい.本コースでは,神経病理学といえば必ずでてくるbodyといわれているものから,代表的なものをとりあげ,それぞれを中心に関係する疾患の神経病理を理解するコースとした.Bodyというと,対応する疾患名だけの理解で終始しがちであるが,bodyを構成するタンパクなどの知見をもとに,様々な疾患を系統だって理解できることを目指す.そして,あらためて神経病理学の魅力と重要性を理解していただき,診療に役立てることを目指す.

EC-19(生涯教育)

テーマ:神経疾患の遺伝カウンセリング・発症前診断入門
ねらい:神経疾患のうち遺伝子の異常が次々に明らかとなっている。遺伝子診断を安易に行うのではなく、適切な遺伝カウンセリングを行った後に実施する必要がある。また神経変性疾患の場合、罹患者のみでなく、家族内の発症前診断の問題も発生しうる。実臨床を行う上で神経内科医が知っておくべき内容について解説をいただく。

EC-20(生涯教育)

テーマ:神経難病と血液浄化
ねらい:神経難病に対する血液浄化の現状と今後の展望
①はじめに:血液浄化療法の総論、血液浄化の実際:方法論,副作用など各種神経難病:
②自己免疫性末梢神経疾患(GBS,CIDP,自己免疫性自律神経障害など)
③筋疾患(重症筋無力症, 封入体筋炎,多発筋炎/皮膚筋炎など)
④中枢性脱髄性疾患(MS/NMOSD)
⑤自己免疫性脳炎(NMDA受容体脳炎,VGKC複合体関連疾患など)

EC-21(生涯教育)

テーマ:小脳性運動失調症のみかた:現在、そして未来へ
ねらい:小脳に障害がある患者の症候としては、体幹性失調や小脳性言語などの小脳失調は勿論のこと、異常眼球運動、筋トーヌス異常などが有名である。しかし、時間の調節異常としての速度やタイミングの異常や、運動学習(適応)の異常、言語のプロセス異常など、実に様々な異常が現れうる。このように様々な異常を的確に捉えることは、これからの神経学の発展に重要であり、患者の治療効果判定にもとても有用である。本シンポジウムでは、小脳性運動失調の捉え方について、J.M. Charcotらの見解とご自身の経験を、日本を代表する神経学者のおひとりである岩田誠先生に解説していただく。次に、特に重要な小脳失調症とその診察法について、矢部一郎先生から講義をしていただく。最後に、水澤英洋先生からまとめと将来の展望をご解説頂く。幅広い年齢層の先生方に印象深いコースとなり、先生方のご診療に役立てていただくことが狙いである。

EC-22(生涯教育)

テーマ:慢性免疫性ニューロパチーの診断と治療
ねらい:慢性炎症性脱髄性多発根ニューロパチー (Chronic Inflammatory Demyelinating Polyradiculoneuropathy; CIDP)はEFNS/PNS(European Federation of Neurological Societies/Peripheral NerveSociety)診断基準が発表され、CIDPの臨床像を典型的CIDPと非典型的CIDP(MADSAM, DADS、Focal, Pure motor, Pure sensory type)に2群化して、CIDPの概念を広げた。また、多巣性運動ニューロパチー(MMN)とパラプロテイン血症を伴うニューロパチーは別の疾患概念で原因も治療方法も異なる。これらの治療可能な慢性免疫性ニューロパチーの診断の原則やこつと、治療方法についてそのスタンダードを俯瞰する。

5月20日(金)午前

EC-23(卒前・初期研修医)

テーマ:神経疾患診断の奥義―問診から診断まで
ねらい:-

EC-24(生涯教育)

テーマ:遺伝性・代謝性・中毒性ニューロパチー診療のポイント
ねらい:遺伝性ニューロパチーには、シャルコー・マリー・トゥース病、家族性アミロイドポリニューロパチーをはじめとする多種多様な疾患が含まれるが、家族歴が不明、稀な遺伝子変異型、非典型的症候の場合は、慢性炎症性脱髄性多発神経炎など他疾患との鑑別が困難なことも多い。いくつかの疾患では治療薬の開発が進んでおり、早期診断、治療の必要性が増している。糖尿病性ニューロパチーは最も高頻度なニューロパチーであるが、代謝異常、血管障害、神経再生障害、免疫学的機構など複雑な病態が関連している。本症の正確な病態把握を行い、各病態に応じた治療法の選択が必要である。抗がん剤の中には高頻度にニューロパチーを生じるものがあることが知られているが、診断が遅れると不可逆的な後遺症を残す症例も多く本症の早期診断が重要である。上記の代表的な4疾患の診断、治療のポイント、最新の知見を提供する教育プログラムを提案する。

EC-25(生涯教育)

テーマ:病理からエキスパートの臨床診断をふりかえる(症例検討形式)
ねらい:画像や検査の発展にもかかわらず、神経疾患の臨床診断が病理診断と乖離する率は相変わらず高いが、検証の機会に乏しい。そこで本コースでは臨床診断を自ら病理学的に検証した経験の豊富なエキスパートに、両者が乖離した自験例を中心にお話いただく。神経病理を参照項とするが、臨床所見をどうとらえて、組み合わせるのが良いかという鑑別を中心とした実践的臨床推論過程が主題である。操作的手続きではとらえきれない特徴をどう臨床診断に反映できるか、注意すべき点は何か具体化する。さらに、参加者に問いかけながら鑑別上留意すべき点や限界を言語化し、エキスパートの経験を共有することを目指す。対象疾患により臨床推論パタンは異なるが、対比することで各々の診断戦略の違いはより鮮明になる。幅広い神経疾患を髙い精度で臨床診断できるポイントを、本コースを通してより多くの臨床医と共有したい。

EC-26(生涯教育)

テーマ:病態に対応した多発性硬化症治療薬の選択方法を学ぶ
ねらい:多発性硬化症(MS)の疾患修飾薬は、わが国でもインターフェロンベータ製剤2剤、フィンゴリモド、ナタリズマブ、グラチラマー酢酸塩と5種類が使用可能となっている。また、早期診断・早期治療開始により、障害の進行が抑えられる可能性も示されてきている。そこで、早期診断のためMcDonaldの新たな診断基準が提案されている。一方で、アジア人種には欧米白人のMSとは異なる特徴があるため、それらにも配慮した疾患修飾薬の使用が強く求められている。欧米と異なり、わが国ではMS専門医の数は少なく、MS専門医と一般神経内科医との診療ギャップも大きな課題となっている。そこで、本教育コースでは、一般神経内科医を対象に、MS早期診断と疾患修飾薬選択の留意点をわかりやすく解説し、診療ギャップの解消を図ることをねらいとしている。

EC-27(専門医育成)

テーマ:神経筋解剖
ねらい:梶龍兒大会長からの御依頼で企画しました。専門医試験においても、神経筋疾患は弱い分野と聞いています。中でも神経筋解剖は、神経筋疾患や整形外科との境界領域の疾患を診断・理解する上でのキーとなるポイントです。本コースでは、実際の症例を呈示しながら、対話形式(roundtable形式)で病変局在の演習を行い、これらの疾患の診療に役立つような、神経筋解剖についての実践的知識を身につけることを目指します。私がcooridnatorとなって、関係者の若手に症例提示をしてもらいながら、議論を進めて行く形式で考えています。協力してもらう若手の人選は未定ですので、とりあえず私のみを講師として挙げておきます。

EC-28(生涯教育)

テーマ:頭痛診療最前線
ねらい:頭痛性疾患は有病率が高く、「なおる神経内科」の最も重要な領域のひとつです。頭痛研究からの新知見に基づいて2013年国際頭痛分類は第3版β版に改訂され、2014年に日本語版が刊行されました。 片頭痛は、外来受診患者の多くを占め、治療法も進歩していますが、解決すべき課題が多く残されています。前半は,片頭痛患者に生じている様々な病状を何が起きていると理解すればよいのか,わかりやすく説明するポイントや薬物・非薬物治療の具体的な進め方を解説して頂きます。後半は、知見が集積されつつある慢性片頭痛、新たに付録に記載され耳鼻科との境界域にある前庭性片頭痛、一次性雷鳴頭痛と可逆性脳血管攣縮症候群(RCVS)による頭痛、それぞれの最近の捉え方とマネージメントについて取り上げます。 本コースにおいて、頭痛研究および診療に携わる会員に、最新の頭痛性疾患の知見を紹介し、神経内科診療の向上をはかって頂く企画です。

5月20日(金)午後

EC-29(卒前・初期研修医)

テーマ:ここまで治る!神経疾患の新たな治療
ねらい:-

EC-30(生涯教育)

テーマ:広がるスポーツ神経学:脳震盪から認知症まで
ねらい:スポーツ神経学は神経内科の中でも新しい診療・研究領域であるため、日本神経学会の会員でもこの領域に精通している会員はまだ少ない。しかし、最近のスポーツ競技人口の増加やスポーツ外傷への認識の高まりに伴い、欧米ではこれに関する文献報告が急増している。今後我が国でも、この領域における神経内科医の積極的な貢献が必要と考えられるので、この教育講演を企画した。
ANAのSports Neurology Sectionの目標は、①スポーツ神経学はスポーツに関係した神経学的損傷の診療と研究ばかりでなく、②神経疾患を持つ患者のスポーツ参加への安全性、③神経損傷の神経心理的な後遺症とADLに及ぼす影響、④運動のもたらす神経学的な効用を理解することである。
スポーツ神経学で扱う疾患は多岐にわたるが、本企画では脳震盪および認知症などが主症状となる慢性期の神経障害を取り上げて、その病態や症候、予防などを解説する。

EC-31(生涯教育)

テーマ:全身性疾患で重要な神経疾患をみる
ねらい:神経内科では神経系の支配を受ける全身隅々の様々な症状が診療の対象となる.本学会による神経内科の認知・啓発プロジェクト「神経内科フォーラム」においても,神経内科医は「全身を診るお医者さん」と記されている.我々神経内科医は,神経難病などの神経内科疾患に対する高い専門性を発揮するだけでなく,全身疾患による様々な神経系の障害への対応を求められる.本企画では,悪性腫瘍,心血管領域,自律神経系など,全身におよぶ疾患,臓器・系統と神経疾患・神経症状との関連について取り上げ,医学生、初期研修医に神経内科の幅広さを知ってもらいたい.また,現在の高齢社会においては患者の多くは高齢者であり,老年医学の総合的視点での“全身を診る神経内科”についても言及する.

EC-32(生涯教育)

テーマ:一過性脳虚血発作を見逃さない
ねらい:脳梗塞の前段階である、一過性脳虚血発作の多くは受診時に症状が消失していることが多いため、医療者側の対応に迅速性が欠けていることが多い。しかし、発作後早期の脳梗塞発症率は無視できず、適切な治療により80%近くを予防できる。神経内科医にとって、適切かつ迅速な対応により、引き続く脳梗塞の発症を抑制することが重要である。従来、ABCD2スコアによる脳梗塞リスクの評価が提唱され、これが広く使われているが、これだけ覚えて用いれば良いというものではない。脳梗塞と同じように一過性脳虚血発作でもその発症機序はさまざまであり、多くの情報から原因を推定して迅速に最適な治療法を選択していかなくてはならない。本コースでは、診断が必ずしも容易ではない本疾病を、疫学、臨床、画像、治療と法的な側面からまとめることで、日々の診療に貢献できる内容とする。

EC-33(生涯教育)

テーマ:新オレンジプラン時代の認知症多職種連携(対話形式)
ねらい:認知症患者の急激な増加に伴って、認知症のひとを地域で支える体制づくりが喫緊の課題となっている。すでに認知症患者の徘徊・行方不明、運転免許の問題、高齢者虐待など様々な問題が生じており、これに対応して平成26年1月、認知症対策を多省庁による国家プロジェクトとして実施することが決定され、新オレンジプランが発表された。本プランは患者家族の視点を重視し、初期集中支援チームなどの多職種連携により地域で認知症のひととその家族を支える社会の構築に主眼が置かれている。本教育コースでは、そのひとらしい生活を地域で守り維持していくための方法論と最新情報を共有し、多職種による協働を円滑にするための医療介護スタッフのスキル向上を目標としている。

EC-34(専門医育成)

テーマ:成人脳波のデジタル記録判読法
ねらい:脳波、筋電図などの臨床神経学必須アイテムに対する教育は現在でも十分ではない.特に脳波に関しては、脳波計そのものはデジタル化され、判読精度が向上する環境が整ってきているのにかかわらず、判読医が減少していることもあり判読側が対応しきれていない.従来の紙出力での判読に限らず、レビューソフトを用いた脳波判読は今後益々必要とされるため、臨床神経生理学会脳波認定医が中心となり、判読に関する教育を毎年行う必要がある.今回、脳波検査開始から終了までの一連の記録をPC で再生しながら、脳波判読医と聴衆者との対話方式で判読していくレクチャーを提案した.当日は臨床脳波の標準的判読法、レビューソフトでの判読法、およびてんかんの脳波所見を中心にレクチャーする.

5月21日(土)午前

EC-35(生涯教育)

テーマ:神経難病リハビリテーション
ねらい:症状が進行し、有効な薬物療法に乏しい神経難病への医療では、リハビリテーションに対する患者からのニーズが高い。また、療養継続にはリハビリテーションが欠かせない。呼吸ケア、摂食嚥下ケア、コミュニケーション対策は進行した神経難病患者に共通するリハビリテーション課題である。さらに、神経内科医が日常臨床で遭遇する頻度が高いパーキンソン病では、患者自身が早期から継続できるリハビリテーションプログラムを用いて、地域の医療資源を利用しつつADLやQOLを維持する試みが注目されている。そこで、パーキンソン病の早期リハビリテーションと神経難病の排痰と気道ケアについて取り上げる。短時間の講演とハンズオンを組み合わせて、受講者にその方策を学習・体験してもらい、日常診療の多職種連携を利用して患者に具体的に還元できる教育コースとしたい。

EC-36(専門医育成)

テーマ:発作様神経症候の多様性:適切な鑑別と治療へ
ねらい:急性脳血管障害、運動異常症、てんかん発作、急性脳炎の運動症状、片頭痛、急性の意識障害などは、日常臨床で頻繁に遭遇するが、症状の多様性から神経内科のsubspecialtyの狭間に陥りやすい病態が少なくなく、またその病態の鑑別診断は重要である。その理由は、多くの病態は神経細胞群の興奮性あるいは抑制性病態であるもののその病態の発現機構がそれぞれ異なる事実に大きく起因する。各subspecialty専門学会の疾患の境界領域に関する個々のトピックを、日本神経学会という基盤学会のメリットを生かして、大枠の視点から問題点、病態,治療の情報を共有してdiscussion することで、会員の日常臨床に資する情報を提供する。各病態はビデオ等も使用してよりわかりやすく情報を会場で共有して、ライブでのinteractiveなdiscussionで内容の共有化とコンセンサス化を図る。

EC-37(生涯教育)

テーマ:ヒステリー(転換性障害)について今、考える
ねらい:神経学の祖であるCharcotは多発性硬化症や筋萎縮性側索硬化症などの神経学の基本的研究を終えた後に、ヒステリーに出遭い、その研究に向かった。弟子のBabinskiはヒステリーの鑑別のために母趾徴候を発見し、留学生のFreudは精神分析学を発展させた。その後、O. SacksがGilles de la Tourette病についての読み物で述べているように、大局的に見て、「魂なき神経学」と「身体なき精神医学」とが分離したままになってきた。精神科医のKretschmerに準じて動物や昆虫における擬死反射から推測すれば、ヒステリーも最高次の神経学的異常によると思われる。また、明らかに心因から始まっても、中枢での再構成が生じ、最終的に共通の神経学的基盤をもつ可能性があり、分離は困難であり、神経疾患に合併すればさらに診断困難となる。しかし、ヒステリーには心因性としての治療が必要・有効であり、陽性的特徴や可能ならPETなどの最新の検査を駆使して鑑別していく必要がある。

EC-38(卒前・初期研修医)

テーマ:脳卒中って何だろう?
ねらい:脳卒中、脳血管障害は患者数の多い国民病であるが、卒前教育や初期研修で履修する機会は比較的限られ、解剖学、症候学、診断学など講義が分かれて行われることも多い。したがって脳卒中の全体像を把握できないままに、医学部を卒業し、また初期研修を終える方も少なくないであろう。ここでは少人数の対話形式の講義形態を用いて、脳卒中とはそもそもどのような病気か、どのような機序で起こるのか、どのように診療に臨むべきかを、ごく平易に解説する。

EC-39(生涯教育)

テーマ:神経疾患の摂食嚥下障害 病態と対策
ねらい:神経内科疾患においては、摂食嚥下障害が高率に発症し、生命予後の決定因子となる。また食のQOLを損なうことは言うまでもない。摂食嚥下リハビリテーションは、複数の診療科やメディカルスタッフとのチーム医療であるが、主治医の立場にある神経内科医が、各疾患の摂食嚥下障害の病態を理解し、各専門職の役割と最新の知見に精通していることが、その医療のカギとなる。 本コースでは、対象疾患として多い脳卒中・パーキンソン病・MSAや摂食嚥下障害が必発であるALSなどの病態について、VF/VEを供覧して理解を共有するとともに、摂食嚥下リハビリテーションの最近のエビデンスについて学ぶ。一方、薬効に影響を及ぼす服薬困難についての最近の研究、ニューロリハビリテーションの最新の知見についても、それぞれの研究に関わっている演者と情報を共有することを目的とする。

5月21日(土)午後

EC-40(卒前・初期研修医)

テーマ:神経診察におけるgeneral neurologyの重要性
ねらい:欧米では大学の神経内科には少なくとも8~10名の教授陣・同数程度の部門があって、その一人・一つにGeneral Neurologyの教授・部門がおかれている。そこでは頭痛やめまい、疼痛などの対処や研究がなされ、同時にあらゆる神経疾患患者の入り口の部門としての役割を果たしている。総合診療が一種のブームであるが、神経内科(臨床神経学)は昔から、頭の先から足の先までの各種の症状を扱い、またほとんどの訴えが感覚神経系を通じてなされるので、もともと総合診療を行ってきたのである。遺伝学や免疫学、生理学などを背景として神経学における先進的研究の進歩は著しいが、それらを高速道路建設に例えると、General Neurologyは街中の交通渋滞に対処するようなものである。本企画がGeneral Neurologyの面白さや有用性を伝える一助になればと思う。

EC-41(卒前・初期研修医)

テーマ:意外に多い神経変性症のピットフォール
ねらい:神経変性疾患は今日ますます治療可能になりつつあり、正確な診断の重要性が増している。本コースでは、代表的な神経変性疾患とそれに類する病態を取り上げ、実地臨床でどのように診断していくかを学ぶ。認知症についてはアルツハイマー病、血管性認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症などをいかに鑑別し治療につなげるかを理解する。パーキンソニズムとしてはパーキンソン病のほか、薬物性・血管性パーキンソニズム、多系統萎縮症、進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症、正常圧水頭症などについてどう鑑別を進めるかを考える。脊髄小脳変性症は孤発性、遺伝性に分類できるが、さらにどこに着目して鑑別するかを知る。運動ニューロン疾患では筋萎縮性側索硬化症の診断の方法・意義を理解し、その他の病態といかに鑑別するかを把握する。以上のように、主要な病態について自力で鑑別診断を挙げて暫定診断をつけられるようになることを目指す。

EC-42(生涯教育)

テーマ:パーキンソン症候群の鑑別における画像検査
ねらい:パーキンソニズムを呈して外来を訪れる患者は多い.我々神経内科医の使命として,これらの患者に正確な診断を下し,的確な治療へ導く必要がある.パーキンソニズムを呈する疾患の画像検査としては,頭部MRI,MIBG心筋シンチグラフィ,ドパミントランスポーター(DAT)シンチグラフィ,脳血流SPECTなどが挙げられるが,闇雲に全ての検査を行う訳にはいかない.どのような症例でどの検査をまず行うか一定の見解はないのが現状である.また,これらの検査結果により返って診断に迷う事が多くなっていることも事実である.本コースでは,MRI,MIBGシンチ,DATシンチの有用性と限界について講演いただき、実際の症例を数例提示し,臨床症候,画像所見と合わせディスカッションしたい.

EC-43(生涯教育)

テーマ:神経疾患に伴う難治性歩行障害 ~病態の理解と新たな治療の取り組み~
ねらい:神経疾患に随伴する歩行障害の多くは薬物治療に対して難治性であり,QOLの著しい低下を招く主因である.本生涯教育では,各々の神経疾患に伴う難治性の歩行障害や姿勢不安定性の機序について解説し,病態に応じた様々な治療の取り組みについてニューロモデュレーション医学,ロボット工学,再生医学の分野から最新の知見を報告する.本コースへ参加することにより,難治性の歩行障害に対する病態の理解が深まるとともに治療の取り組みの現状について知ることができ,今後の日常診療において基礎疾患に応じた適切な治療法を選択するのに役立つことが期待される.

EC-44(専門医育成)

テーマ:行動神経学
ねらい:行動神経学beahavioral neurologyというのは,高次脳機能障害をもたらす神経疾患を対象とした神経内科学のサブスペシャルティを言います.認知症,脳血管障害,変性疾患,脳炎,てんかん,外傷などによる認知行動障害が主な対象です.神経心理学はその中の重要なツール・基本的知識で,同時に神経画像や神経生理,神経精神薬理やその他を含みます.神経心理学というと理屈っぽいだけと敬遠されがちですが,欧米では神経心理学の領域に心理学の参入が著しく,治療的観点など医学の関与が相対的に小さくなって,行動神経学という枠組みができあがり,米国では,AANのもと,behavioral neurologyのprogramが用意され,boardもできて,400人の専門医がいます.行動神経学は神経内科の中でもとても重要な領域で,神経内科医たるもの知識として備えるべきだし,その領域の専門家も育って欲しいと思います.