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代表理事からのご挨拶

代表理事就任にあたって

東京医科歯科大学大学院脳神経病態学分野
水澤 英洋

水澤 英洋
水澤 英洋

はじめに

 去る5月22日の第51回日本神経学会総会(学術大会)の終了後から、任期満了に伴う葛原茂樹前代表理事のご退任に伴い、日本神経学会の代表理事に就任いたしました。ちょうど日本神経学会50周年記念式典と記念祝賀会を挙行し、次の50年に向けて第一歩を踏み出す、まさにその時に代表理事に就任し責任の重さを感じております。7月17日の理事会にて今後の方針をご説明するとともに、2期4年間の任期を終えて委員長交代となる委員会の新委員長、新総務幹事(東京大学神経内科の寺尾安生助教)をご承認いただきました。これによって、新しい執行部体制が整ったことになりますので、一言私の考えをお伝えしたいと存じます。

新しい一般社団法人としての日本神経学会

 まず重要なことは、現在、日本神経学会は法人化の途上にあるということです。今年度中に代議員(社員)の選挙が行われますし、今年中に理事の選出法の原案を確定し新年には会員の皆さんにお示してご意見を伺う予定です。2011年5月の社員総会にてこの選出法をご承認いただいた後、この方法により理事の選挙が行われますが、これでも新しい制度によって選出された理事が活動するのは2012年5月以降ということで、もう少し時間がかかることになります。また、本年の第51回総会から、学術大会は担当の会長や教室のみに負担を掛けるのではなく、法人として一定の方針の下で運営されるように大きな転換をしましたが、これをさらに推進し学術的にも教育的にも高い水準を保つと共に、会員にとって参加しやすい学術大会としての基本スタイルを完成させたいと思います。さらに、各地方会が法人支部として学会本部と一体となって運営されることにより、全国如何なるところでも高い水準の神経内科診療や教育が行われるよう計りたいと存じます。

日本神経学会の任務と運営

 日本神経学会の役割を考えたとき、定款に明らかなように、その本務は神経内科診療の向上、神経内科教育の充実、神経疾患研究の発展ならびにこれらを通じて国民の健康や福祉、社会へ貢献することであろうと存じます。これまでも歴代の代表理事の下で多くの努力がなされてきましたが、さらなる発展をめざしてこれらの活動を強力に推進して参ります。診療に関しては、ガイドラインの整備を恒常的に行うことによる神経内科領域における標準治療の普及、保険診療の拡充、診療報酬の増加などをめざして不断の活動を行い、教育に関しては、現在は境界がやや曖昧な卒前・卒後・生涯教育の区別と連携をよりいっそう高め効率化を計り、学術大会における教育プログラム、臨床神経学誌の活用など教育を学会活動全体の中で考え、ますます高まる教育へのニーズに応えていく予定です。研究に関しては、学術大会における学術プログラムの充実、各種アウオードの充実、英文誌の刊行、神経科学会等関連他学会との連携、神経内科関連研究費の増加・情報周知・申請支援などを推進したいと考えています。
 そして、これらの本務を十二分に遂行するために、学会の様々な業務を効率よく遂行することが重要であり、換言すれば学会業務・運営の効率化をより一層進めます。とくに財務はきわめて重要で、これまで進めてきた事業別収支を各事業主体である委員会に理解していただき健全な財政を目指します。また、会員管理は財務上もきわめて重要で、利益相反などの倫理的問題にも迅速に対応できるようにする必要があります。そのためにも各種業務のIT化を進めなければなりませんが、まだe-mailの登録率は60%弱ときわめて低く、よりいっそうのご協力をお願いする次第です。

社会的貢献への取り組み

 本務に関わりますが、国内外で強力に神経内科と日本神経学会の周知を計ります。まず、国内的には脳神経外科や整形外科に比べてまだまだ認知度の低い神経内科について、国民、他の領域の医師、厚生労働省・文部科学省等の行政、政界、経済界などに理解していただく工夫をしたいと思います。本年5月の50周年記念式典・祝賀会はその目的もあったわけですが、大きな効果があったと感じています。しかし、一回の行事で充分なはずはなく、今後も不断の努力が必要と認識しております。このことは、神経内科が膨大な種類の疾患と多数の患者さんを対象とする極めて重要な基本的診療科であることを周知するのみならず、我が国における神経内科診療の向上、すなわち神経疾患に苦しむ人々の役に立つとともに、神経内科医の地位の向上、神経内科医の増加、神経疾患研究の推進、神経内科教育の向上など全てにとってよい効果をもたらすものと期待しております。そしてこのような活動を通じてこそ実績に裏付けられた神経内科とそのアイデンテイテイの確立に繋がるものと思います。

国際化の推進

 次に、我が国の歴史的・地政学的状況、地球規模のグローバリゼーションの流れをみるに、医学・医療の国際化の必要性は言うまでもありません。日本神経学会も大いに国際化を推進したいと思います。その一つは学術大会の国際化であり、英文誌の刊行です。前者は、現在進行中の韓国、台湾、中国との協力をさらに深めるとともにアジア・オセアニア全域へと拡大し、アジア・オセアニア神経学連合(AOFN)さらには世界神経学連合(WFN)などを中心に、着実にリーダーシップを発揮していきたいと考えています。学術大会の国際化には、日本神経科学会が3年がかりで学術大会を順次国際化してゆき、現在は参加者の約30%が外国人という成功を収めていることが大きな参考になると存じます。英文誌の刊行もすでに小委員会の決定を受け理事会では承認されており、財政の見通しがつけばすぐさま実施可能です。

まとめ

 以上、まとめますと日本神経学会本務の発展、学会業務・運営の効率化、法人化の完成、国内外への神経内科と日本神経学会の周知、国際化ということになります。言うまでもないことですが、日本神経学会は会員一人一人の力で成り立っておりますので、執行部、代議員、正会員、事務職員など関係者が協力し合って初めて、これらの多数かつ高い目標を達成できるものと存じます。私は、これらの目的のために誠心誠意、全力を尽くして参ります。どうぞ、ご協力のほどお願い申し上げます。

2010年8月吉日
撮影:井原 淳一

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