症例報告
汎下垂体機能低下症にて発症した中枢神経系原発悪性リンパ腫の1例
関 彩花1）＊ , 逸見 文昭1）, 伊藤 慎治2）, 宇留賀 公紀2）, 有澤 慶3）, 上坂 義和1）
1）虎の門病院脳神経内科
2）虎の門病院病理診断科
3）虎の門病院脳神経外科
41歳女性．嘔吐，ふらつきで発症，血液検査では，下垂体ホルモンの全般の低下と，高プロラクチン血症を認めた．頭部MRIで下垂体柄・脳梁・第4脳室周囲から上小脳脚にFLAIR画像で高信号の病変を認め，同病変は均質に造影された．脳生検でprimary diffuse large B-cell lymphoma of the central nervous systemの診断となり，化学療法が開始された．鞍上部は中枢神経系原発悪性リンパ腫の部位としては稀だが，髄液細胞診の所見が正常でも鑑別にあげ，生検で早期に診断すべきである．
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(臨床神経, 64：356−360, 2024)
key words：中枢神経原発悪性リンパ腫，汎下垂体機能低下症，下垂体柄，視床下部
（受付日：2023年10月27日）
