臨床神経学

症例報告

CLCN1遺伝子に新規変異p.F343Cを同定した先天性ミオトニアの1家系

中村 善胤1)*, 佐藤 秀則2), 垣内 謙祐1), 宮野 佑樹2), 細川 隆史1), 荒若 繁樹1)

1)大阪医科薬科大学内科学IV 教室脳神経内科
2)山形大学Well-Being 研究所マルチオミクス研究部門

症例は42歳女性.10歳代より動き出しが悪く妊娠中に手の開きにくさが出現した.筋力低下や筋萎縮や寒冷時症状悪化や一過性四肢脱力はないがウォームアップ現象を伴う把握ミオトニアを認めた.針筋電図検査で第一背側骨間筋と前脛骨筋にミオトニー放電を認め全エクソーム解析でCLCN1遺伝子にヘテロ接合性一塩基置換(c.1028T>G, p.F343C)を認めた.同置換は症状のある母と弟に認め無症状の父と別の弟になかった.細胞外I-Jループ領域アミノ酸置換を伴う新規のCLCN1遺伝子変異による先天性ミオトニア(Thomsen病)と診断した.顕性遺伝形式で同領域の変異は少なく本疾患の病態理解に貴重な家系と考えた.
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(臨床神経, 64:344−348, 2024)
key words:先天性ミオトニア,Thomsen病,CLCN1遺伝子,CLC-1クロライドチャネル,新規変異

(受付日:2023年9月26日)