臨床神経学

症例報告

エクリズマブを使用している難治性全身型重症筋無力症患者でCOVID-19関連肺炎を罹患するも重症化しなかった1例

黒田 祐1)2)(常用漢字で表記しています), 渡辺 源也1)*, 佐藤 一輝2), 小野 紘彦2), 突田 健一1), 鈴木 靖士1)

1)国立病院機構仙台医療センター脳神経内科
2)東北大学病院脳神経内科

症例は74歳女性.30歳代で重症筋無力症(myasthenia gravis,以下MGと略記)を発症し,翌年に胸腺腫を摘出したがMG症状が安定せず,fast-acting treatment strategy(FT)目的の頻回な入院治療が必要だった.X-2年3月よりエクリズマブを開始し,MG症状が軽快したため外来で経過観察していた.X年2月に全身倦怠感,発熱が出現しSARS-CoV2 PCR検査で陽性となり胸部CTで軽度の肺炎像を認め,入院した.入院中はMGとCOVID-19関連肺炎の症状は重症化しなかったが,その際にエクリズマブがそれぞれの病態に良好に作用した可能性があるため文献的考察を踏まえて報告する.
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(臨床神経, 64:109−112, 2024)
key words:重症筋無力症,エクリズマブ,COVID-19,筋無力症クリーゼ

(受付日:2023年8月31日)