臨床神経学

原著

「HTLV-1関連脊髄症(HAM)診療ガイドライン2019」の活用実態および内容の評価に関する全国アンケート調査

鷹尾 直誠1), 佐藤 知雄1)2), 山内 淳司1)2), 八木下 尚子2), 堀部 恵梨佳2), 山野 嘉久1)2)*

Corresponding author: 聖マリアンナ医科大学脳神経内科〔〒216-8511 神奈川県川崎市宮前区菅生2丁目16-1〕
1) 聖マリアンナ医科大学脳神経内科
2) 聖マリアンナ医科大学難病治療研究センター病因・病態解析部門

診療ガイドラインは作るだけでは不十分で実践される必要がある.そこで「HAM診療ガイドライン2019」の普及の程度,日常診療とのギャップの定量化,実践にあたっての課題の抽出・ニーズの把握を目的に専門医にアンケート調査を行った.ガイドラインの普及度は12%と低くまだ十分活用されていないこと,専門医の25%はヒトT細胞白血病ウイルス1型(human T-cell leukemia virus type I,以下HTLV-1と略記)感染の確認検査を知らずHTLV-1に関する知識は不十分であること,また疾患活動性に応じて治療強度を決定する方針への同意率は90.7%と高いものの,その評価に有用な脳脊髄液マーカー測定の実施率は27%と低いことなどが判明した.今回得られた知見を活用し,さらなる周知を進めることが重要である.
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(臨床神経, 63:433−440, 2023)
key words:ヒトT細胞白血病ウイルス1型,HTLV-1関連脊髄症,HAM診療ガイドライン2019,エビデンス・プラクティス・ギャップ,QOL

(受付日:2023年3月27日)