臨床神経学

総説

片頭痛の病態に関する最新の知見

永田 栄一郎1)*

Corresponding author: 東海大学医学部内科学系神経内科〔〒2591193 神奈川県伊勢原市下糟屋143〕
1)東海大学医学部内科学系神経内科

片頭痛病態に関する研究は,脳血管が原因で起こるとする血管説,皮質性拡延性抑制現象(cortical spreading depression; CSD)を中心とした神経説が提唱され,その後三叉神経節を中心とした血管や神経原性炎症を起源とする三叉神経血管説が提唱され,現在まで広く受け入れられている.近年,画像検査の進歩により片頭痛発生時期を前兆期より前の予兆期にすでに視床下部での活動性が上昇していることがfunctional MRIやPETなどで明らかとなった.また,光過敏症に関しては内因性網膜神経節細胞(intrinsically photosensitive retinal ganglion cells; ipRGCs)が発症に関与していることも明らかとなった.近年の分子生物学および画像診断の目覚ましい進歩により,過去に提唱されていた病態仮説が次第に明らかとなりつつある.
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(臨床神経, 60:20−26, 2020)
key words:セロトニン,片頭痛予兆期,視床下部,PACAP38,ipRGCs

(受付日:2019年7月18日)