臨床神経学

短報

Percheron動脈の関与が疑われた両側視床梗塞に対して血栓回収を企図し血管造影検査を施行した1例

大野 成美1), 河野 智之1)*, 木本 和希1), 上野 弘貴1), 野村 栄一1)

Corresponding author: 広島市立広島市民病院脳神経内科〔〒730-8518 広島県広島市中区基町7番33号〕
1) 広島市立広島市民病院脳神経内科

症例は87歳女性.主訴は意識障害,最終健常確認時刻から1時間32分で搬送された.来院時神経所見は両側瞳孔散大・対光反射消失,除脳硬直肢位,Babinski徴候陽性であった.CTAで左後大脳動脈交通前部(P1)の閉塞が疑われ,脚部(P2)以遠は左内頸動脈から後交通動脈を介して描出された.MRIで両側視床梗塞を認め,P1から分岐するPercheron動脈閉塞を疑いt-PAを静注した.その後血管造影検査を施行しP1の血栓回収を試みたところ自然再開通し,症状は改善した.脳底動脈が開存しているにも関わらず両側視床梗塞を認めた場合はP1に着目し,血栓回収を企図して血管造影検査を検討する必要がある.
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(臨床神経, 63:375−378, 2023)
key words:Percheron動脈,急性期脳梗塞,両側視床梗塞,再開通療法

(受付日:2022年12月7日)